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中国で下水の廃油1万トンを食品転用騒動 報じた記者殺される


食料品を中心とした物価上昇が止まらない中国で、とんでもない食品安全問題が発覚した。当局の発表にメディアのキャンペーンが加わり、パニック状態になっているという。今回の主役は“地溝油”だ。ジャーナリストの富坂聰氏が解説する。

* * *

中国でいま再び食品安全問題が大きな話題となっている。

今回の主役は久しぶりに脚光を浴びる“地溝油”である。地溝油とは捨てられた油(主に大規模レストランやホテルなど)を再生して造られた油のことだ。再生などというと「エコ」っぽい響きがあって誤解を招くが、要するに下水に混ざった廃油を汲みあげて造られたものなのだ。

背景には食料品を中心とした物価上昇が収まらない中国の事情がある。CPI(消費者物価指数)上昇目標を年間4%とする政府をあざ笑うように食料品は対前年比で13~14%も上昇し、材料費を浮かせるため、業務用を中心に“地溝油”への需要が爆発的に拡大したと考えられているのだ。

現状、中国はさしずめ小さな“地溝油”パニックと呼ぶべき状況だが、きっかけは湖南省で大規模な闇工場が摘発されたことだ。その工場からは高級ブランド品として知られるメーカーの空ボトルが大量に見つかり、見た目ではとても区別出来ないと分かったこともパニックに拍車をかけた。

しかも当局が「少なくとも1万トンの地溝油が市場に出回った」と発表したのである。現在、当局に加えメディアも大キャンペーンを張って地溝油撲滅に力を注いでいるが、密造業者の方も一歩も引く様子はない。

9月末には、この地溝油の地下工場の存在をスクープした記者が、殺されるという事件まで起きているのだ。


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