ビジネス

門倉貴史氏 リビア情勢落ち着けば原油価格安定すると予測

 米国の金融緩和策を背景に発生した大量の余剰マネーの流出入が原油価格などを乱高下させ、コモディティ(商品)相場を騒がせている。商品市場の今後をBRICs経済研究所代表の門倉貴史氏が解説する。

 * * *
 長期的な視野でみれば、有力新興国の台頭による需要増加という構造的な要因によって、原油、穀物、金などの国際商品価格は全般的に上がっていく流れにあるとみる。しかし、各商品市場の規模はそれほど大きくないため、一気に投機マネーが流れ込んだり、流れ出たりすると、値動きがかなり激しくなるので要注意だ。

 特に現在のような先行き不透明な世界経済情勢のもとでは、少しでも有利な投資先やリスク回避先を見つけると、市場にあふれたマネーが集団的に同じ方向に移動してしまう。ちょっとした材料でも即座に商品価格は反応するのだ。価格が上がるような材料が出れば、オーバーシュート気味に上昇していき、逆に下がるような材料が出れば著しく急落する。

 原油価格が今年に入ってから1バレル=100ドル付近の高値へと上昇してきた理由として、【1】中国やインドなどの有力新興国での原油の消費の増加、【2】米国の量的金融緩和第2弾(QE2)による余剰マネーの原油先物市場への流入、【3】産油国である中東・北アフリカ地域の政変・政情不安による原油の供給不安の高まり、の3つの要因の重なり合いが指摘できる。

 供給面で今後のカギを握るのはサウジアラビアにまで政変、民主化要求のデモが広がるかどうかだが、個人的にはその心配はないとみている。緊迫するリビア情勢が落ち着いてくれば、高騰気味の原油価格もある程度、調整してくるのではないか。

 大豆やトウモロコシ、砂糖、コーヒーなどの市場でも全般的に価格が上昇している。個別でみると、供給国の天候不順や一時的な生産の滞りなどが材料になっているだけで、決して在庫が底をつきそうなわけではない。

 小麦価格も高騰している。昨年の猛暑の影響でロシアでは小麦がほとんど収穫できず、さらに豪州など他の小麦輸出国が異常気象の打撃を受けた。需給が逼迫していることは確かだが、そこに投機的な思惑を抱いた余剰マネーが流れ込み、より増幅されている部分がある。

 このほか、原油価格の上昇を受け、バイオ燃料などの需要も高まっている。ブラジルでは、バイオエタノールの原料になるサトウキビが不足し、食料用を燃料用に回す事態にもなっているという。

※マネーポスト2011年7月号

関連キーワード

トピックス

二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン