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つか、プラチナバンドって何?

7月25日(水)、ソフトバンクモバイルが900MHz帯の電波を用いたサービスを開始した。国内の通信業界において、間違いなく歴史的な日と言えるだろう。というのも、ソフトバンクの前身である、「デジタルホン」「J-PHONE」「vodafone」時代を通して初の1GHz(1000MHz)帯以下の周波数帯を利用することになったからだ。さらに言うならMVNO(仮想通信事業者)を除いて国内大手通信キャリアで、NTTドコモ、KDDI(au)に次いで3番目の“プラチナバンドキャリア”となったことも大きい。

ではこの「プラチナバンド」、いったい何が変わってどんなメリットがあるのかを簡単に解説していこう。

■“なんかよく分かんないけど”つながりやすくなるみたいよ?
ソフトバンクがプラチナバンドのプロモーションを行っている中で一般ユーザーは、「なんかよく分かんないけどつながりやすくなるみたいよ?」という認識にはなっているだろう。

いつの間にか「なんかよく分かんない」は端折られ「つながりやすくなるみたいよ?」→「ある日突然ソフトバンクはつながりやすくなった!」(と思い込み)→実際にはそんなに変わってない→「つながりやすくなったはずなのにつながらないじゃん!」→勝手な思い込みで行き場のない思いをTwitterにつぶやく。というおバカなことをしないために、むしろ「なんかよく分かんない」部分を少しでもいいのでちゃんと理解してみよう。


■プラチナバンドって何?
まずはプラチナバンドとは何か?中には「ソフトバンクが開発した機能かなんかなの?」と思っている人もいるかもしれないがそうではない。

バンドとは“(電波の)周波数帯”のことを指し、プラチナは“貴重な”という意味合いで用いられている。周波数帯として、700MHz帯~900MHz帯が遠くまで電波が飛び、扱いやすい周波数帯域と言われており、ドコモやauにおけるプラチナバンドは800MHz帯を利用している。

じゃ、ソフトバンクはもっと前から使ってれば良かったんじゃない?と思うかもしれないが、“電波は有限の資源”であるため総務省から免許が与えられないと利用することはできない。さらに、プラチナバンドはケータイキャリアだけでなく他の事業にも使われているためそう簡単に空きがない。まさに貴重な周波数帯という訳だ。


■プラチナバンドだと何故つながりやすくなるの?
前述のように電波が飛びやすい、扱いやすいという点だが、基本的な認識としては、周波数帯が高くなれば建物などの障害物に対して反射してしまい遠くまで電波が飛び難くなり、周波数帯が低くなると建物などを回りこんで電波がより遠くに届きやすくなるという電波の性質だと理解してもらうといいだろう。

つまり、新しく扱うことになった電波の性質上、今までのソフトバンクが使っていた周波数帯よりも遠くまで電波が届くから結果的につながりやすくなりますよ。というだけの話だ。恐らく誰にでも理解できるレベルの話で、この部分が理解できれば前述の「なんかよく分かんない」部分はクリアできたことになる。おめでとう。


■実態として本当につながりやすくなるの?
ユーザーとして一番重要な部分はここだろう。総務省から免許が与えられ、プラチナバンド使うことができましたよー、バンザーイ!、はい全国どこでも昨日圏外だったところが今日からバリ3!、、、とかなる訳がない。普通に考えてあり得ない。免許が交付されるだけでつながるなら色んな人が職を失うだろう。

免許が交付されたのはスタートラインに立っただけで、そこから走り出さないといけない。つまり、重要なのはこれからということだ。具体的には、基地局を作ったり設置したりなど設備を整えることと、対応した機種を増やしていくことだ。本当にプラチナバンドの効果がユーザーレベルで体験できるようになるには数年はかかる。

ユーザーとしては、設備についてはエリアマップなどで確認することができるので対応しているエリアでなければプラチナバンドは使えていないという認識でよいだろう。機種についても、5月29日にソフトバンクが発表した今夏モデルとそのほか一部のモデルが対応しているという現状のため、対応していない機種を利用している場合は、プラチナバンドが利用できるかどうかについては全く関係のない話と言える。正直今までと何も変わらないと認識しておいた方がいいだろう。


■現時点のエリアはどうなっている?
ソフトバンクでは、プラチナバンドに対応した基地局を2012年度中には約1万6千局、2016年度中までには約4万1千局(人口カバー率99.9%)に増設する予定としており、エリアマップを公開してエリアを確認することができる。
SoftBank 3G プラチナバンド 対応エリア(ソフトバンク)
3Gハイスピード プラチナバンド 対応エリア(ソフトバンク)


■現時点の対応機種はどれ?
サービスイン当初の対応機種は以下の通りとなる。
・iPhone 4S
・iPhone 4
・新しい iPad
・iPad 2
・PANTONE 4 105SH
・HTC Desire HD SoftBank 001HT
・HTC Desire SoftBank X06HTII
・HTC Desire SoftBank X06HT
・TOUCH PRO SoftBank X05HT
・TOUCH DIAMOND SoftBank X04HT


【2012年夏モデル】
・PANTONE 5 107SH
・AQUOS PHONE Xx 106SH
・ARROWS A 101F
・AQUOS PHONE 102SHⅡ
・THE PREMIUM9 WATERPROOF 109SH
・COLOR LIFE3 103P
・かんたん携帯 108SH



■もっと詳しく知りたい!分からないことがあればどうすればいい?
ソフトバンクのFAQページにて、カテゴリから探すの「エリア・Wi-Fi」→「プラチナバンド」→「プラチナバンドの概要について」から各種FAQを見ることができる。
よくあるご質問(FAQ) | ソフトバンクモバイル


■まとめ
確かに現時点では何も変わらないユーザーの方が圧倒的に多いだろう。しかし、ようやくプラチナバンドを手にしたソフトバンクが今後数年の間に設備の整備およびメンテナンス、対応機種の拡充などしっかり行っていくことで現状よりエリアが広がることは間違いない。

数年後、今まで全くソフトバンクはつながらなかった地域が“ある日突然使えるようになるかもしれない”という期待はもちろん抱いてもよいだろう。


■付録
最後に付録として大手の各通信キャリアの周波数帯を紹介する。

NTTドコモ
800MHz帯/1.5GHz帯/1.7GHz帯/1.9GHz帯/2.1GHz帯

KDDI(au)
800MHz帯/1.9GHz帯/2.1GHz帯

SoftBank
900MHz帯/1.5GHz帯/2Ghz帯

WILLCOM
1.9GHz帯

イー・アクセス
1.7GHz帯

UQコミュニケーションズ
2.5GHz帯

ワイヤレスシティプランニング(SoftBank 4Gとしてサービス中)
2.5GHz帯

※総務省は6月27日、NTTドコモ、KDDI/沖縄セルラー、イー・アクセスに対し700MHz帯の免許交付を答申している。



■関連リンク
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