■世界一絵が上手いのは誰だ!?の巻 | たかみゆきひさオフィシャルブログ「shadowcube」Powered by Ameba

■世界一絵が上手いのは誰だ!?の巻

今度は世界一絵が上手いのは誰だ!?
って話。


自分は絵を描く仕事もしてたりするので、やっぱり絵が上手くなりたい!
っていうのは永遠のテーマではありますが。

「絵が上手い」とはいったいどういうことを言うのか


昔ね、高校の時に鉛筆で写実的な絵を結構描いてた時期があって、よく「上手いね」とか言われたんだけど、「それって本当に上手いのか!?」って疑問が湧いたのですよ。

だって、もし写実的に描けることを上手いと言うのであれば、それって究極の形は

写真と同じなんじゃ…

え?
写真みたいな絵は描けないって?

いやいや、写真と同じ絵なんて手間をかければ実は誰でも描けるんですよ。

書き方は至って簡単。
横に写真を置いて、タテヨコに細かく線を入れて碁盤の目を作り、そのマスの中と同じ色を白紙なりの同じ場所にプロットしていくだけ。
タテヨコのマスが細かければ細かいほどより写真に近づきます。
気が遠くなるかもしれないけど、極めて単純な作業で技術は殆ど要らない。

なので、写実的な絵が描ける事は上手いって言わないよな。
…なんて思った時期があるんですよ。
ま、いまでも思ってますけど。


この理屈は世界一歌が上手いってどんなことだ!?に相通じるものがある。


うーん、写実的な絵はやっぱり上手いとは言い難いんじゃないか。
写実的だったとしても構図だったり、シュールな題材であったりと言った個性にやっぱり依存する。
個性に依存するってことはつまり万人が上手いって思うものはないってことだ。

さて、写実画に対してデフォルメした絵はどうか。
特徴を捉えて効果的にデフォルメされてる絵は上手いと感じることがある。
それではデフォルメを追求したものはどうか。

うーん、それって所謂「マンガ」だよね。
そしてそれが動くとアニメとなる。

マンガ・アニメ万歳!
ってちょっと強引過ぎか(笑)


いや、強引でもないんだけど


その昔、西洋美術っていうのは基本的に表現方法は写実主義だった。
これを大きく変えたのは日本の浮世絵であり、その後アールヌーヴォーとして欧州で大流行した。
要はマンガやアニメと同じように実線で描かれたいわゆる主線(おもせん)で区切られた面を単一色で塗られる絵画はそれまで写真のような絵を描いていた画家たちにとってはとてつもなく新鮮に映り、当時のアーティストの間でたちまち流行した。
浮世絵が西洋美術に影響を与えたというのは有名な話だが、この影響は実は線画で書く手法だけではない。

それまで西洋では常に人間の目線で描かれていたのだが、アールヌーヴォーを経て別の角度、例えば鳥瞰図で描かれたりするようになる。
これも浮世絵や屏風絵の影響である。

例えば、僕らが歴史の教科書でよく見る大化の改新の絵がある(Wikipediaより)。
(ショッキングなので注意)

ファイル:Irukaansatsuzu.jpg

これは江戸時代に描かれた絵巻物だが、イラストは全て線画で描かれ、斜投影図で鳥瞰図、しかも天井がなく、すぐ上にはなんと雲が描かれている。
こういった絵は当時の西洋人にとってはまったくもってファンタジーだったはずだ。

こういった絵巻物や屏風絵、浮世絵などは往々にして絵とストーリーが一体となっている。
今で言うマンガと一緒なのだ。
(ちなみにマンガの祖と言われる鳥獣戯画も平安時代の絵巻物)



この表現方法は日本で生まれたものではなく、中国の花鳥画や山水画などの影響から日本において、より洗練され、確立されたものだ。


目に入ってきたものをそのまま写実的に捉え、正確に描こうとする西洋美術と、目に入ってきたものの特徴を捉え、簡略化してデフォルメを施す手法のどちらが優秀なのか。


むずかしいよねぇ。
本当は後者の様な気がするよねぇ。
でも後者はつきつめるとピカソや岡本太郎の様な絵に行き着くわけです。

でも、一般的にはやっぱり写実的な絵を描けると上手いって思っちゃう人は多い。


歌もそうだけど、絵も深いねぇ。