国内

山口地検検事 飲食店で4か月に5回お触りして減給1か月処分

 村木厚子・元厚労省局長(現在は内閣府政策統括官)の冤罪事件(※)や、小沢一郎氏の政治資金問題での証拠改竄や調書捏造によって、検察の威信は地に墜ちた。
 
 そこからの出直しを掲げて、7月に検事総長、次長検事、東京高検検事長らの主要人事が一斉刷新され、8月には郵便不正事件での証拠改竄が問題となった大阪地検特捜部も新部長に交代となった。
 
 だがその一方で、小沢氏の元秘書の捜査報告書を捏造した元東京地検特捜部の田代政弘氏は不起訴とされ、「減給処分」の末に自主退職で済ませている(現在、市民団体が検察審査会に不起訴処分の不服申し立て中)。身内に甘い体質は、何も変わっていない。
 
 そうした検察の姿勢を端的に示す資料を入手した。最高検、全国の高検、地検全59か所に対し、過去3年分(2009~11年度)の「懲戒処分・内部処分」、つまりは検察職員による不祥事を記した文書を情報公開請求したところ、請求から約2か月後、全国の検察から開示文書が続々と送られてきた。その数、3年間で懲戒処分43件、内部処分309件に上った。

 そこで、この350件超の不祥事のうち、特筆すべきを紹介しよう。案件は犯罪行為から軽微な仕事上のミスまで様々だが、共通するのは全国紙やブロック紙、地方紙を含め、ほとんどマスコミで報じられていないという点である。検察と司法記者クラブにより闇に葬られていた事件には、どのようなものがあるのか。

 まず比較的重い懲戒案件から見ていく。国家公務員の懲戒処分は、重い順に免職、停職、減給、戒告の4種類。人事院資料によると、それぞれの定義は、免職は退職手当などが支給されない形の身分剥奪、停職は1年以下の職務停止、減給は1年以下にわたって5分の1以下の月給減、戒告は「その責任を確認し、将来を戒めるもの」で、この場合も給与などの減額を伴う。

 懲戒処分には、痴漢などの性犯罪が目に付く。たとえば昨年12月、山口地検で1か月の減給処分となった事件をみてみよう。

〈11年6月10日から同年10月21日までの間、■■飲食店等において、■■触るなどした。同年7月4日及び同月6日、■■飲食店等において■■触るなどした。同月4日、■■飲食店において■■触った。同年9月2日、■■飲食店において、■■触った〉

 このように店名や被害女性は黒塗りされているが、要はこの検事、いろいろな店でひたすら“お触り”を繰り返していた(被害者が同僚女性なのか一般女性なのかは不明)。

 当時の各紙紙面を見ると、地方紙を含めマスコミは一切これを報じていない。

 懲戒処分については、人事院が公表指針を定めている。同指針は、各省庁が公表する原則として、「職務上の行為による全ての懲戒処分」と「職務外の行為による免職又は停職」を挙げている。裏を返すと、「職務外の行為」で処分された場合、免職・停職以外の懲戒なら公表しなくていい、ということになる。だから、減給処分なら公表しなくて済むわけである。

 ところが同じ人事院の「懲戒処分の指針について」では、痴漢行為やセクハラについては、悪質な場合は免職または停職という重い処分が想定されている。この職員が幾度もセクハラ行為を繰り返しながら1か月の減給で済んだ背景には、「公表したくない」という地検側の事情もあったのではないか。山口地検からの回答はなかった。

※郵便割引制度を悪用したとして、大阪地検特捜部が2009年、広告会社幹部らを摘発。捜査の過程で、偽の証明書が厚生労働省から発行されていたことが発覚し、村木厚子・同省元局長らを逮捕したが、冤罪だった。裁判で大阪地検が証拠品のフロッピー内の文書を改竄したことが明らかになっている

●佐々木奎一(ジャーナリスト)と本誌取材班

※週刊ポスト2012年9月14日号

関連キーワード

トピックス

三浦瑠麗(本人のインスタグラムより)
《清志被告と離婚》三浦瑠麗氏、夫が抱いていた「複雑な感情」なぜこのタイミングでの“夫婦卒業”なのか 
NEWSポストセブン
オフの日は夕方から飲み続けると公言する今田美桜(時事通信フォト)
【撮影終わりの送迎車でハイボール】今田美桜の酒豪伝説 親友・永野芽郁と“ダラダラ飲み”、ほろ酔い顔にスタッフもメロメロ
週刊ポスト
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン