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アポロデザイン
2014年4月12日 (土)

おもしろい仕事に人は集まる。クリエイティブ集団KOO-KIの働き方

KOO-KIのオフィスにて。左よりギリシャ出身のオレスティスさん、ドイツ出身のビトさん、京都から秋山さん、東京から山田さんと上原さん(写真撮影:アポロ計画)
写真撮影:アポロ計画

満員電車に人ゴミ、物価の高さなどが気になっても、仕事のことを考えると都会に住むという選択になる人は多い。確かに、仕事と暮らす場所はかけ離すことのできない問題だけに、そんな方程式ができるのは致し方ない。
しかし、東京でなくても、面白い仕事をつくりだしている人たちはいる。福岡市に拠点を置く映像クリエイティブ集団KOO-KI(くうき)もそんな会社のひとつだ。しかも、全国区で知られる仕事だけじゃない。世界を魅了する映像を、福岡から発信しているのだ。そんな彼らの仕事に興味をもち、福岡へ移住してくるメンバーもいるのだという。

絶対に「オモシロイモノ」しかつくらない

KOO-KIってどんな会社?そんな問いに答えを出してくれるのが、彼らが公言しているこんな言葉だ。絶対に「オモシロイモノ」しかつくらない。

会社がスタートした17年前から福岡に拠点を置きながら、世界をまたにかけて活躍するクリエイティブスタジオである。最近で言えば、2020年の東京五輪招致のプレゼンテーションで流れたPRフィルム「Tomorrow begins」の制作をはじめ、「おしい!広島県」のキャンペーンや地元発のドラマ「めんたいぴりり」(https://suumo.jp/journal/2013/08/15/50182/)などを手掛けたといえばピンとくる人も多いだろう。プロフィールに並ぶ世界各国でのクリエイティブアワード受賞歴は、彼らの実力の高さを伺わせてくれる。

おもしろい仕事に人は集まる。クリエイティブ集団KOO-KIの働き方

【画像1】KOO-KIの仕事の集大成として地元・福岡の商業ビルイムズで開催中の「大空気展」。(2014.3.14→4.20まで開催中)。彼らの生み出した名作や仕事の流儀を堪能できるイベントとなっている(写真撮影:アポロ計画)

KOO-KIブランドが人も呼び寄せる

代表ディレクターである江口カンさんをはじめ、創業からのメンバーの多くは福岡出身者で構成されているが、実はKOO-KIで仕事をするために九州福岡へ拠点を移したというメンバーもいる。そんなメンバーに、KOO-KIで働くこと、そして、福岡に拠点を置くことに関して聞いてみた。

東京五輪招致の映像を手掛けたディレクター上原桂さんは、もともとは東京で映像ディレクターとして活躍していた。震災をきっかけに「暮らすこと」を考え東京以外での拠点を考えるようになったが、なるべくスタイルや質を変えずにこれまで通りの映像の仕事をするために、「KOO-KIというブランド」に辿りついたと語る。

関西出身の上原さんにとっては、福岡は土地勘も、知り合いもほとんどない地であった。最初は「よし行くぞ」と気張って移住してきたものの、住んでみると「地の利的にも、気分的にも、思っていた以上に東京との距離感を感じない」と言うのが実感のようだ。東京時代と忙しさはあまり変わらないそうだが、仕事のバリエーションは広がった。何より、メンバーの仕事への意識の高さに刺激を受けていると言う。

今年、京都の大学を卒業して、上京ではなく上福(!?)してきたのは新人の秋山優さん。KOO-KIの掲げる「オモシロイものしかつくらない」というポリシーと目に見えた作品のクオリティに共感して、福岡へやってきたそうだ。

学生時代に福岡の大学で学んだプロデューサーの山田修明さんも、一旦は東京の映像会社で活動していたがUターンで福岡に戻ってきたケース。地方であることを強みに変えてこれだけの仕事ができる信頼感からKOO-KIで働くことを選んだ。出張の回数が増えたという大変さはあるものの、「少し離れた福岡で暮らすことで、東京で働いていたときに比べ良い意味で肩の力を抜いて俯瞰して仕事を見られるようになった」と、福岡に拠点を置くことの魅力を語ってくれた。

国際的にも認められる福岡の住環境?

KOO-KIのオフィスには仕切りがない。デスクも特定の場所がないらしく、プロジェクト毎に集まってみたり、席を移動してみたり、実にボーダーレスな風通しのよい空間となっている。そんな職場で働くスタッフも、実にボーダーレスで国際色豊かなメンバーがそろっている。

ドイツ出身のビトさんは、故郷ドイツで自らCGの会社を経営していた。日本文化を学ぶための来日。自然の豊かな地を探して福岡、そしてKOO-KIに辿り着いた。ギリシャ出身のオレスティスさんは、国へ帰るアクセスを考えると東京に住むほうが楽だけれど、あえて福岡を選んだ。日本を知っている西洋人は多いが、福岡という街を知る人は少ない。その分、「トレジャーハンティング」のような楽しみもあるそうだ。

おもしろい仕事に人は集まる。クリエイティブ集団KOO-KIの働き方

【画像2】KOO-KIのオフィスにて。左よりギリシャ出身のオレスティスさん、ドイツ出身のビトさん、京都から秋山さん、東京から山田さんと上原さん(写真撮影:アポロ計画)

おもしろい仕事に人は集まる。クリエイティブ集団KOO-KIの働き方

【画像3】KOO-KIの営業マン的存在であるデモリール(ムービー作品集)には、福岡の飲み屋の看板、福岡の中洲のお姉様方、そして福岡を代表する祭りの姿が描かれている。このパッケージに誘われて福岡にやってくるクライアントもいるとか。地元への愛着が感じられる(写真撮影:アポロ計画)

あるインタビューで代表ディレクターの江口カンさんは、KOO-KIの社用車である自転車メーカーのことを語っている。「アメリカの片田舎にある小さな会社がつくる自転車だが、世界中にファンがいる。ひたすら頑固に自分たちが楽しいと思えるものをつくり続けている。そんな会社になりたい」。映像が氾濫する中で、世界の人の心を掴む作品をつくりだすKOO-KI。オモシロイ仕事があるところに、人は集まってくるのか。ドイツ出身のビトさんが、江口さんのようなオモシロイ社長には、ドイツでも日本でも会ったことがないと力説していたのが印象的であった。

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