【9月11日 AFP】米マサチューセッツ(Massachusetts)州の裁判所は前週、刑務所に服役中の受刑者に性別適合手術を受ける権利を認める判断を下した。米裁判所がこうした判断を下すのは今回が初めて。

 妻を殺害した罪で終身刑に服しているミシェル・コシレク(Michelle Kosilek)受刑者は、男性のロバート・コシレク(Robert Kosilek)としてこの世に生を受けたが、12年間にわたって性別適合手術の許可を求めており、既にホルモン療法を受けている。

 これまで刑務所側は、コシレク受刑者が手術を受けて女性になった場合、他の受刑者の性的暴行の対象となる恐れがあると主張し、コシレク受刑者の要求を認めてこなかった。

 しかしマーク・ウルフ(Mark Wolf)判事は、残虐で異常な刑罰を禁止した合衆国憲法修正8条に言及し、コシレク受刑者は「深刻に治療を必要としており、適切な医療行為を受ける権利がある」と指摘。128ページに及ぶ判決文の中で、刑務所側が主張する受刑者の安全面の懸念は単なる口実に過ぎず、矯正局が対処することで安全確保が可能だと結論付けた。

 ただ、裁判所はコシレク受刑者が手術を受けた後、男女のどちらの性別で収容するべきかは判断せず、刑務所側に一任した。また、手術を執刀する医師や手術費用を誰が負担するかについても言及しなかった。(c)AFP