「『新聞で人助け』とか言っていたのに、そりゃないぜクラーク」

写真拡大

スーパーマンが長年勤めた新聞社を「退職」したことに、朝日新聞の名物コラム「天声人語」が「クレーム」を付けている。

スーパーマンことクラーク・ケントは、普段は記者として新聞社「デイリー・プラネット」に勤務している、というのが初登場以来70年以上続くおなじみの設定だ。ところが2012年10月24日発表された新作漫画でケントは、

「新聞はもはや、ジャーナリズムではなく娯楽になり下がった」

と上司に言い放ち、新聞記者を廃業してしまった。

「いわば副業だけに気楽なもんだと思う」

天声人語筆者は、記者仲間の「変節」にいたく落胆したらしい。26日朝刊の同欄は、

「『新聞で人助け』とか言っていたのに、そりゃないぜクラーク」

といった調子で、終始嘆き節に満ちている。

また筆者には、ケントが今後、ジャーナリストとしての活動の場をインターネットに移すとされていることがよほど気に食わない様子だ。「同業の目には無謀と映る」と独自の論理を主張しただけではなく、さらには「空さえ飛べる男が時流に乗るのは道理かもしれない」とスーパーマンの能力を引いてあてこすり、とどめは「ひがみ半分、いわば副業だけに気楽なもんだと思う」。

一方でケントによる新聞批判については、「娯楽だと嘆いたのは場の勢いだろう」と取り合う様子もない。最後は、「ひそかな自慢(注:スーパーマンが新聞記者をしていること)が業界を去っても、新聞という地味な人助けにこだわりたい」と締めくくった。

「ああ、自覚無いんだなぁ…」

この文章に、読者の反応は総じて冷ややかだ。漫画家のかずみ義幸さんがツイッターで、

「スーパーマンが新聞記者辞めたと天声人語。辞めるときの台詞が『新聞はもはや、ジャーナリズムではなく娯楽になり下がった』といったのを、この天声人語の記者は『娯楽だと嘆いたのは場の勢いだろうが』って…ああ、自覚無いんだなぁ…」

とつぶやくと、投稿はたちまち1200回以上もリツイートされた。ほかにも、「ケントが嘆いた現状を全く認めようとしていない」「なぜスーパーマンが組織ジャーナリズムに失望したのかわかってない」などといった疑問の声が相次いでいる。