ライフ

遺言トラブル回避には専門家立会いの下で公正証書遺言を作れ

竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「遺言書を書く際、誰が立ち会うのが一番いいのでしょうか?」と以下のような質問が寄せられた。

【質問】
一人暮らしの伯父が病気です。事業で財産を築いてきたので、周りが早めに遺言書を書くことを勧めています。遺言書を書く場合、高齢なので誰かが立ち会った方がよいと思いますが、誰ならいいのか、条件のようなものはあるのでしょうか。あとで揉めないようにするために大事なことは何でしょうか。

【回答】
成年後見手続きをした成年被後見人が遺言をする場合は別として、普通の遺言で同席が必要となるのは、「証人」です。しかし必ずしもすべての遺言で、「証人」が必要なわけではありません。

証人が必要な遺言は、公正証書遺言と秘密証書遺言です。公正証書遺言の場合、2人の証人が、公証人が遺言者から聞き取って筆記した内容を本人に読み聞かせて、確認させる過程に立ち会い、筆記内容が正確なことを承認する役割を担います。

これに対して秘密証書遺言では、2人の証人が公証人とともに、遺言者から封筒に封入された遺言の提出と自分の遺言に相違ないことの表明等を受けたあと、封筒に署名押印して、本人の遺言であることを確認します。

遺言の証人の資格は、未成年者、相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族でないことです。また、公証人の関係者であっても同じく証人にはなれません。

しかし、遺言者が全文自筆で作成する自筆証書遺言では、証人の立ち会いは不要です。もっとも、本人が全文自筆で書いたかが争われそうな場合には、第三者が見守っていると、後日、本人作成を証明するうえで有効です。

ですが、もちろん遺言を書いたときの証人にはなりません。従って、この意味の同席者の資格に制限はありませんが、信頼性と公正さを保つためには、証人と同様の配慮をしておくとよいでしょう。

遺言には、死後に、遺書は偽造ではないか、本人に遺言できる能力があったか、遺言の内容に矛盾があるなど、さまざまな争いが起きる可能性があります。遺言の効力を巡って争いの種を残さないためには、法律の専門家が遺言者に会って、遺言の内容を確認して作成する公正証書遺言が最良です。

※週刊ポスト2011年12月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
「What's up? Coachella!」約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了(写真/GettyImages)
Number_iが世界最大級の野外フェス「コーチェラ」で海外初公演を実現 約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン