iPhone5が発売された。これまで日本国内のiPhone市場を形成してきたともいえるソフトバンクと、昨年からその市場に参戦したKDDIの競争模様は、すでにさまざまに取り上げられているところだ。
とりわけ孫社長のパフォーマンスは目を引いた。発売直前になって、テザリング対応予定を発表。あわせて、下取りプログラムの拡充と、それまでau側で大きなメリットとされてきた「固定回線セット割引」も導入。その結果、テザリング・24時間通話定額・ 固定回線セット割引についてはすべてauと同じ価格となった(ただしソフトバンクのテザリングと24時間通話定額については2013年1月15日からの提供)。
テザリングを選択した時のパケットプランは、7GB以上に速度制限がかかる「パケットし放題フラット for 4G LTE」で、2012年12月末までは特別価格の5460円(4G LTE 定額と同額)で契約できる。また、テザリング料金として設定されている525円も無料とし、これらの特別価格もauのキャンペーン価格と同様。
ソフトバンクはそもそもiPhone5について「テザリング無し」の特別プランで「容量無制限」がある。つまりソフトバンクのiPhone 5ユーザーは、同じ価格で「7GB制限ありのテザリングあり」か、「容量無制限・テザリング無し」のどちらかを選択できる(※2012年12月末までの申込)。
新たな「下取りプログラム」は対象機種をソフトバンクで販売したグローバル対応機種のスマートフォンに拡大。iPhoneは3Gから適用され、月額1000円を下取り価格に応じた月数、月額利用料金から割り引く。ただし、端末を下取りに出した時点で割賦が残っている場合はそのまま継続して支払うことになため、注意が必要。
下取りするスマートフォンは本人が契約していたものに限らず、家族や友人から譲りうけたものでも対応する。また、iPhone 4/4Sを利用しているユーザーが、下取りプログラムを利用せず、古いiPhone 4/4Sを家族が使うための端末として使用するために新規契約(USIM カード単体での契約/ホワイトプランもしくはタイプXにねん契約必須)した場合、新規回線のパケット通信が2年間、4410円から1980円になる「4G/LTE スマホ家族キャンペーン」も発表されており、ソフトバンクのキーワードが「家族」「既存顧客」であることが読み取れる。
ちなみに、各キャリアでiPhone4S(16GB)をiPhone5(16GB)に機種変更した場合、auユーザーが月額5275円になるのに対し、ソフトバンクユーザーは3785円。ソフトバンクのiPhone4(16GB)ユーザーの場合も、iPhone5(16GB)に機種変すると3785円、auに乗り換えた場合4295円となり、月額510円の差額が発生する。(スマホBB割、スマートバリューなどを含む全てのキャンペーンを適用した場合。1年目の月額で計算)
プラチナバンドで猛攻勢をかけ、LTEの基地局は10673(2012年8月18日現在)と、環境の整備に力をいれるソフトバンク。ただしそれらもユーザーあっての話だ。「下取りプログラム」ではiPhone4Sに機種変更・乗り換えを見送ったソフトバンクユーザーを取り込み、また“2年縛り”の呪縛からユーザーを解き放つことで確実にiPhone5ユーザーになってもらうこと、そして「家族も」ソフトバンクのファンになってもらうためのプログラムを充実させる――ソフトバンクは確実な自社の「場」を形成しておくフェーズに入っている。