板尾創路
 映画『私の奴隷になりなさい』で、主演の壇蜜演じるOLを奴隷として扱う“先生”という怪人物を演じた板尾創路。いまや映画俳優としても引っ張りだこの彼の映画に対する思いとは?

――出演作をご自分でご覧になった感想は?

板尾:監督がかなり渋めに編集されてるので、おとぎ話っぽい感じの仕上がりになっていますね。エロティックなんですけど、ちょっと重めの印象がありました。

――役柄を演じるにあたって、監督から演技の注文はありましたか?

板尾:ほとんどなかったですね。ずっと同じトーンなので、そんなに難しくはなかったです。どっちかというと陰というか、なかなか画面に見えてこない役なので、声の印象が残ればいいなと思ってました。映りがどうとか、お芝居がどうとかはあまり意識しなかったですね。

――主演の壇蜜さんの印象はいかがでしたか?

板尾:最初はちょっと変わってるというか、どこを見てる人なのかなという感じでしたけど、まあ、普通の女の子ですよ。こんなこと言ったら本人は嫌がるかもしれませんけど。

――きわどいシーンの撮影も多かったと思うんですが、どういう気持ちで臨まれていましたか?

板尾:彼女がこういうお芝居が初めてだったので、僕はどっちかというとスタッフ寄りというか、彼女がやりやすいようにナビゲートしていくというか……。一緒にお芝居をしたというよりは、演出助手みたいなイメージでしたね。

SMに興味はあるがやっぱり面倒くさい


――今回演じていたのは、SMのSの“先生”という役柄でしたが、板尾さん自身はSMというものには興味がありますか?

板尾:まあ、男なんで興味はありますけど、先生みたいに奴隷が何人もいるとか、そういうのはちょっと……。テクニックが必要だったり、危険を伴うこともあるし、人間の感情をすごく掘り下げていくというか、精神的なプレイなので。やっぱりその辺って、遊びで済まされるもんでもないと思うんですよ。僕は面倒くさいですね、こういう世界は。普通のセックスで十分です。

――性格的にはSとM、どちらに近いと思いますか?

板尾:両方あると思いますよ。極端にどっちかが強いってことはないと思います。こういうSとかMとかって、今、日常会話にもボンボン出てきますけど、たぶん使い方も間違ってるし、誰にでもあるものですよね。

――確かに、最近はSとかMとかそういう言葉がよく使われてますよね。

板尾:なんか、ねえ。日常的にみんな使ってますからね。それぐらい解放されてる時代ってことなんでしょうけど。あの世界も昔の方が良かったんじゃないですか。なんかそんな気がしますね。

演出家はあんまり俳優に頼ってない


――これまで板尾さんは多くの映画に出演されていて、監督を務めたこともありますが、ご自身と映画とのかかわり方はどのようなものだったんでしょうか?

板尾:映画にかかわっていく中で何がいちばん好きかっていうと、たぶん、面白い作品に出会うことだと思うんです。だから、機会があれば俳優としても出たいし、撮れるんであれば監督としても撮りたい。でも結局は、その作品にどういう形でかかわっていようが、「いい作品だな」と思えればいいなっていうのはあります。

――監督をやってみたときはいかがでしたか?

板尾:映画を撮るっていうのは、幸せというか、ぜいたくというか。別にそれが本職ではないので、リスクもないし、ありがたい話ですよね。

『全方位型お笑いマガジン コメ旬』Vol.5

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このインタビューの全文は、お笑い評論家・ラリー遠田が編集長をつとめる『全方位型お笑いマガジン コメ旬』Vol.5(キネマ旬報社・刊)に掲載されています。
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