夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せられたのは、アパレルメーカー勤務のご主人(47歳)。奥様(48歳)は自宅ベランダでの園芸が趣味だそうです。
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草花好きの女房が紙に包んで大切に保存しているのは、小葉一枚の「一つ葉のクローバー」です。クローバーって小葉三枚が普通で、幸運のシンボル「四つ葉のクローバー」は珍しい。
「私のは一つ葉だからもっと珍しいわよ。クローバーって、愛情と希望を運んでくれる花なの。あなたが私との結婚生活に愛情を感じ、将来に希望を持てるのも、この一つ葉のクローバーのおかげだと思うわ」
何かというと数十倍の言葉が返ってくるから、あえて反論しないけど、そもそも「一つ葉」というのが怪しいと思うんです。
8年前の夏休みに家族で出かけた時、女房が「一つ葉のクローバーを見つけたわ!」と大騒ぎ。そのクローバーを見て、当時、小学生だった娘が「誰かがイタズラして葉を二枚取って一枚にしたのよ。ちぎった跡があるもん」といい、僕もそう思ったんですが、大ハシャギする女房の前では何もいえませんでした。
「アナタ、また旅行に行きましょうよ。今度は二つ葉のクローバーも見つけたいの」って、わかった。その時は先回りして、葉っぱを一枚ちぎっておくから!
※週刊ポスト2012年5月25日号