サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホーム、何が違う?

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親との同居を含め、家族が将来どういう暮らしを送るのか。専用の施設、たとえば「サービス付き高齢者向け住宅」(以下、「サ付き住宅」)、「有料老人ホーム」など、ニュースでこういった名称を聞くこともあるが、それぞれのサービスは一体何がどう違うのだろう?

元気な時から要介護になるまで住居を変えることなく安心して住み続けられる医療・介護の連携施設「ゆいま~る中沢」(多摩市)

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「高齢者向けの住まいは大きく二つに分けられます。一つは、厚生労働省管轄の『老人福祉法』に基づいて、福祉施策の観点から普及を進めている有料老人ホームなどの施設。もう一つは、厚生省と国土交通省の両管轄で『高齢者住まい法』に基づき住宅施策の観点から普及を進めている高齢者向け賃貸住宅です」

こう解説してくれたのは、高齢者住宅情報センター(フリーダイヤル:0120-352-350)大阪センター長の米沢さん。それぞれどんなサービスがあるの?

「有料老人ホームもサ付き住宅も、部屋の面積や設備によって、“自立向け”と “要介護者向け”に分かれます。介護サービスが必要になった場合の対応は、住宅の種類によって異なります。自立向けは一般マンションに緊急通報を設置したような部屋ですが、どちらかというと要介護者向けは13~18平米のワンルームにトイレや洗面所だけを設置した物件がほとんど。事業主体は民間企業や社会福祉法人、医療法人、NPO、生協などさまざまです」

有料老人ホームとサ付き住宅では、料金体系にどんな違いがあるの?

「有料老人ホームの自立向け物件は、最初に入居一時金を支払うものが多く、要介護向けでは月払いが多くなってきました。自立者向けの有料老人ホームは共用スペースが豊かな高額物件が多く、要介護者向けは金額の選択幅が広いとお考えください。一方、サ付き住宅は入居時に敷金として2~6カ月を支払うパターンが多いですね」

ということは、比較的低コストで利用できるのはサ付き住宅ということか……。それぞれの良い点悪い点を教えて!

「重度になり、最期まで看てもらえるかどうかは、それぞれの方針によって異なりますが、一般的に有料老人ホームの方が安心度は高いでしょう。ただ、高額費用をネックと捉える人もいるはず。一方、サ付き住宅は“高齢者の住まいを増やすこと”を目的としているにも関わらず、自立向けが圧倒的に少ない。18平米の部屋で、トイレと洗面所だけしかない要介護者向けが、13万戸全体のうち約半数を占めているのですから」

このほか、高齢者向け賃貸物件を借りるとなると、どのような選択肢があるのでしょう?

「『サ付き住宅』のほかに、『高齢者向け優良賃貸住宅』、『シルバーハウジング』などがあります。高齢者向け優良賃貸住宅は既存のものに限られるものの、家賃補助が付くのでお得感があります。一方、シルバーハウジングは、所得によって家賃が変わってきます」

米沢さんによると、「子どもには迷惑をかけたくない」と考える一方で、子どもの同居や近居が減ったことで、「将来介護が必要になった時の不安を抱いている」シニア世代が多いという。親と子、双方にとってより良い暮らしとは何なのか。“孝行のしたい時分に親はなし”とならないよう、まだ元気なうちに話し合っておくべきなのかもしれません。

(両角はるか+ノオト)

<関連リンク>
高齢者住宅情報センター
http://kurashi-sumai.jp/

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