手軽な野外レジャーとして人気が高まっているバーベキュー。今年は国営武蔵丘陵森林公園近くに800席もある大規模なバーベキュー場がオープンし、メーカーは火おこしできなくても楽しめるカセット式のグリルを新発売した。気軽に楽しめるようになったバーベキューだが、食材・食器の管理や肉をしっかり加熱するなど、食中毒への注意も忘れてはならない。
「湿度や気温が高くなるこれからの時期は、”細菌”による食中毒に注意が必要です」と話すのは、東京医科大学微生物学講座主任教授の松本哲哉さん。
夏の食中毒の温床となりやすいのが、キッチン。買ってきた肉や魚に腸炎ビブリオ菌、サルモネラ菌やカンピロバクター、病原性大腸菌といった食中毒菌が付着していた場合、水が豊富なキッチンは、増殖するのに最適な環境だからだ。
「食中毒菌がついていても、見た目やにおいでは判断できません。また、新鮮な食品だからといって、菌がついていないとも限りません。ですから、これからの時期は、『食品には食中毒菌がついている』と思って、対策をとるにこしたことはないのです」(前出・松本さん)
食中毒菌を殺菌するためにもっとも有効な方法が”加熱”。食中毒対策3カ条を紹介しよう。
【1】肉や魚はしっかり焼く
肉や魚を調理するときはしっかり加熱し、ムラなく全体に火を通す。調理前も調理後も、室温に長く放置せず、再加熱する際は充分に火を通すこと。
【2】野菜→肉・魚の順に調理する。
食中毒菌がいる可能性のある食品は最後に調理。また、肉や魚の汁が生で食べる野菜や果物、調理済みの食品に触れないように注意して。
【3】熱湯消毒
包丁、まな板、布巾、スポンジなどはよく洗った後、熱湯に1分間つけて消毒を。塩素系漂白剤でもOK。
さらに食中毒の予防策として注目されているのが、“ラクトフェリン”という成分。
「ラクトフェリンは母乳、とくにヒトの初乳(分娩後、数日間分泌される母乳)に多く含まれるたんぱく質で、強力な抗菌作用をもっています」(前出・松本さん)
ラクトフェリンは、3つの力で食中毒菌に対抗する。
「1つは、ヒトがもともともっている免疫システムにはたらきかけて、免疫細胞を増やしたり、活性化したりして、病原菌を排除するのをサポートします。2つ目は、より直接的な力。多くの最近は増殖するときに鉄を必要とするのですが、ラクトフェリンは鉄を奪い去り、細菌が増殖できないようにするのです。3つ目は、ラクトフェリンが食中毒菌の表面に取り付き、活動を押さえ込んでしまう力です。
もし食中毒菌に感染して、症状が出てしまったら、抗生物質で対処するしかありません。しかし、食中毒を未然に防ぐには、効果が明らかになっていて、安全性が確認されているラクトフェリンの摂取が有効と考えられます」(前出・松本さん)
ラクトフェリンはいずれ体から出されてしまうため、食中毒予防効果を期待するなら、定期的な摂取がベター。
「目安は1回100mg、3日に1回程度とるとよいでしょう。一般の牛乳などには、ラクトフェリンはほとんど含まれていないので、ラクトフェリンを配合したヨーグルトやサプリメントを利用するのもひとつの手段です」
この夏は、体の中から&外からの食中毒予防にトライ!