アカウントを乗っ取って「懺悔」をツイートする辞書アプリ

日本に本社のあるiOSアプリ開発企業が、海賊版を使ったユーザーのTwitterアカウントで「懺悔」が自動的に投稿されるようにした。正規購入者でも自動投稿される場合もあり、問題になっている。

あるiOSアプリ開発企業が、ソフトウェアの著作権侵害と戦う究極の方法に行き着いた。海賊版を使ったユーザーの「Twitter」アカウントに、「懺悔」が自動的に投稿されるというものだ。

Twitterでハッシュタグを使って「#softwarepirateconfession」(ソフトウェア海賊懺悔)を検索すると、「How about we all stop using pirated iOS apps? I promise to stop. I really will.(わたしたち全員が海賊版iOSアプリの使用をやめるというのはどうだろう? わたしはやめると約束する。本当にそうする)」 というツイートが次々に見つかる。このツイートは過去1日分だけでも相当な数になり、どれもまったく同じ文だ。

このようなことが起きているのは、各種の辞書アプリを販売しているエヌフォー(本社東京都渋谷区)が、海賊版アプリの使用をやめさせるために、ユーザーのアカウントにツイートを自動的に投稿させているからだ。ところがこの自動ツイートは、実際にアプリを不正に入手したユーザーだけでなく、正規に購入したユーザー層のかなりの部分にまで影響を与えている模様だ。

エヌフォーのサイトには、日本語の謝罪文(PDFファイル)とともに、該当する製品の一覧が掲載されている。この中には「アメリカンヘリテージ」「Collins」「Australian Oxford Dictionary」など数十種に上る英語の辞書や同義語・類語辞典、そしていくつかの日本語辞書アプリが含まれている。

エヌフォーの通信担当副社長を務めるトレーシー・ノースコットは、Twitterでも謝罪している。11月1日付のツイートには、「The anti-piracy module kicked in today for legitimate users(海賊版対策モジュールが今日、正当なユーザーに作用してしまいました)」 とあり、この問題を**「bug(バグ)」** であり**「glitch in the anti-piracy measures(海賊版対策の欠陥)」** だとしている。同氏は14日のTwitterでも、最新版へアップグレードしてほしいと呼びかけている。

この問題は、技術サイト「Pocketables」の編集者が、正規ユーザーであるにもかかわらずこの投稿が行われたと11月10日に報告したことで、より大きな関心を集めるようになった。11月1日に更新された最新版に関するiTunesレヴューでも、正規に購入したが、問題の投稿が行われたと述べているものがある(辞書アプリなので信頼してTwitter連携を認めたと述べている)。

#softwarepirateconfessionには、引き続き自動投稿が行われている。

エヌフォーのノースコット氏は今回の件について、「利用されている当社のアプリのうち、正当なものは25%にすぎません。海賊版はあらゆる独立系開発企業の存続を脅かしています」と釈明している。

※この翻訳は抄訳です。

TEXT BY JON BRODKIN

TRANSLATION BY MAYUMI HIRAI, HIROKO GOHARA/ GALILEO