人間の遺伝子特許、有効か:米最高裁が審理を開始

アメリカ自由人権協会は、ミリアド・ジェネティクス社が保有する遺伝子特許の対象範囲があまりに広いため、研究者の調査や比較を阻害すると主張。あらゆる人間が持つ最も基本的な要素を、知的財産として認めることの合法性・合憲性を問うものだという。
人間の遺伝子特許、有効か:米最高裁が審理を開始
PHOTO BY COURTESY OF U.S. SUPREME COURT

米最高裁は現地時間11月30日、人間の遺伝子を対象とした特許の有効性をめぐって、裁判の審理をまもなく開始すると発表した。これはミリアド・ジェネティクス社が保有する乳がんと卵巣がん(BRCA1及びBRCA2)の発症における遺伝子特許に関するもので、2009年にアメリカ自由人権協会(American Civil Liberties Union:ACLU)が無効を訴えていた。

アメリカ自由人権協会は、同特許の対象範囲があまりに広いため、BRCA1やBRCA2に関する研究者の調査や比較を阻害すると主張し、合衆国憲法修正第一条を脅かすものであるとしていた。10年以上前に認められたこの特許は、該当する遺伝子の検査におけるすべての新しい科学的方法論なども、権利保護の対象にしているという

研究者や患者らを代表するアメリカ自由人権協会は、この裁判について、あらゆる人間が持つ最も基本的な要素を知的財産として認めることの合法性・合憲性を問うものである としている。また同団体は、この特許がミリアド・ジェネティクスに対し、乳がんや卵巣がんに関連する検査への独占的権利を与えるものだと訴えている。この特許のもとでは、BRCA1やBRCA2の検査や分析をミリアド・ジェネティクス社以外に依頼すると、テスト1回ごとに3,000ドル以上の支払いが課され、これらの遺伝子検査を求める女性の障害になっている という。

この裁判に関しては今年8月、連邦巡回控訴裁判所が特許の有効性を認める判決を出していた。ミリアド・ジェネティクスは同裁判所による有効性の判断をあらためて主張している。

なお、遺伝子の検査に関する排他的特許は、嚢胞性線維症や心不全、血色症などについても承認されている。

※この翻訳は抄訳です。

TEXT BY DAVID KRAVETS

PHOTO BY COURTESY OF U.S. SUPREME COURT

TRANSLATION BY WATARU NAKAMURA