隣人との騒音トラブル、どう対処すればいい?

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マンションやアパートなど、共同住宅に暮らしていると時折隣人の生活音が気になるもの。とはいえ、直接苦情を言ったり手紙を入れたりするのはトラブルになりそうで気が引ける……。

相手に言うほどじゃないんだけど……という場合は、遮音シートや防音イヤーマフなど、騒音対策グッズを活用するのも手

相手に言うほどじゃないんだけど……という場合は、遮音シートや防音イヤーマフなど、騒音対策グッズを活用するのも手

そういった状況に悩まされている場合、どうすればスマートに解決できるのか。日弁連ADRセンター委員長、渡部晃さんに聞いてみた。

「まずは大家さんや管理会社に連絡してみましょう。賃貸借契約の特約には『賃借人は騒音をたてたり風紀を乱したり、近隣の迷惑となる一切の行為をしてはならない』といった内容が書かれていることがあります。これをもとに、「特約違反」として話を進めることができます」

基本的には、大家さんや管理会社からの注意によって状況が良くなることが多いそうだ。しかし、もしそれでも騒音問題が解決しない場合は、法律に基づいて解決する手段もあるという。

「前提として、生活音はある程度は我慢しなければならないものです。とはいえ、受忍限度を超える場合であれば、その程度によって騒音差し止めや損害賠償の請求ができます。ただし、この場合は受忍限度を超える音が出ているかどうかを測定する必要があり、なかなかハードルが高いのですね」

物事をそこまで大きくしたくない場合は、ADR(Alternative Dispute Resolution)を活用してみるのも一つの手。少し耳なじみのない言葉だが、ADRとは裁判外紛争解決手続きのことで、裁判とはちょっと異なる方法で法的なトラブルを解決する方法だ。

「ADRは、第3者のあっせん人などを交えながら当事者間が話し合って解決を図る手段。あくまで話し合いなので、お互いの関係にカドを立てることなく改善の方向へ進めることができます。実際、ADRを活用して騒音問題を解決した例は数多くあります」

ADRの具体的な手続きは、まずADRセンターの窓口で申し立てをする。多くのトラブルは「和解あっせん」手続きに進み、第3者のあっせん人として弁護士や元裁判官が選ばれる。当事者が候補者の中から決めることも可能だ。

ADRは金銭的なメリットも大きい。そもそも、騒音トラブルを裁判で解決しようとすると、弁護士費用は最低でも十数万円はかかってしまう。しかし、第一東京弁護士会のADRの場合、申立手数料が1万500円、期日手数料が5,250円、これに成立手数料(300万円以下の場合は8%)で済み、費用も双方で負担する(その割合も担当した第3者のあっせん人などが決める)。

直接相手に不満を伝えようとすると、どうしても感情的になって事態がややこしくなりがち。第3者の存在を上手に活用するのが、騒音問題を解決する有効な手段になりそうだ。

(南澤悠佳/ノオト)

<関連リンク>
▼日本弁護士連合会
http://www.nichibenren.or.jp/

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