PC遠隔操作容疑者逮捕前に警察が情報漏洩していたことについて 国家権力を使った晒し上げ

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容疑者の写真

昨日早朝、PC遠隔操作事件に関連し威力業務妨害容疑で容疑者が逮捕された。同容疑者は「iesys.exe(アイシス)」と呼ばれるウィルスソフトを使い遠隔操作を行っていたとみられる。同容疑者のPCから「iesys.exe」ファイルが見つかっており、捜査を進めている段階。

漏洩によって生まれる「情報リンチ」

そんなPC遠隔操作事件容疑者逮捕の情報が事前に漏洩していたのではないかとネット上で囁かれている。今回の逮捕は深夜となったが、その少し前に某メディアが報じていたり、前日の日付の時点で容疑者の写真を撮影していたりと時系列的な矛盾が生じる。情報漏洩がおこなわれていれば違法行為であり、また特定媒体にする便宜供与に相当する大変な問題である。

例えばこちらの産経の記事をご覧頂きたい。

「正直に認めてほしい」容疑者否認に不安も 誤認逮捕の被害者親族
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130210/crm13021017440014-n1.htm

写真に使われているキャプションには逮捕前日の日付。「9日、東京都内で撮影された」と書かれている。何故この日に容疑者だと判断でき撮影できたのか。警察からの情報漏洩がなければこれは実現しない。また逮捕後には容疑者を取り囲む各メディアが集まっていた。これも警察により見せしめ行為ではないかとされている。公務員からの情報漏洩は違法行為であり、これらの報道は公務員の違法行為によって成り立っているものなのだ。

今回の事件で警察は誤認逮捕を行い自白を強要、警察は誤認逮捕された人たちの人生を壊してしまった

この事件の、見逃してならない側面は、これら誤認逮捕と自白の強要によって「警察による冤罪事件」という別の犯罪を生み出しているということだ。先日、警察庁長官の片桐裕氏と警視庁の警視総監樋口建史氏が任期より早く辞職したのはこの冤罪事件の責任をとった事実上の更迭ではないかと言われている。

関連)
警察庁長官と警視総監が異例の早期辞職、サイバー犯罪捜査マニュアルが原因か?
https://getnews.jp/archives/285442 [リンク]

晒し上げで喝采が送られる時代ではない

警察側としては容疑者逮捕に全力を注いで失点を取り返さなくてはならない。そのため、逮捕時には大々的に祭り上げる予定だったのだろう。しかしそのために情報漏洩をおこなうことを許される時代ではない。これは国家権力を使った晒し上げであり、これまで国民は鈍感だったから問題点の指摘がなかっただけのことである。違法な情報漏洩をもって警察が名誉を挽回するという手法はネット以前の入手できる情報の経路と内容が限られていた人々であれば、喝采を送っていたかもしれないが、もはやそんな時代ではないのだ。「誤認逮捕」「自白の強要」と同様に「捜査情報の漏洩」に関しても、これらはすべて批判されるべき警察による問題行為であり、捜査とはまた別に警察関係者以外の第三者機関によってきちんと検証されるべきだろう。

逮捕後に迅速に情報が伝わるというのであればなんら問題はないが、逮捕前にこういった情報を漏洩する警察の体質は改められなければならない。情報の入口が新聞テレビだけだという古き時代では、もうないのだ。国民自身がその気になれば情報の入手経路をネットで検証でき、問題点があれば指摘できる時代になったのだ。そんな時代にあって、警察による違法な情報漏洩は決して見逃されてはならない。

独立した第三者による監視と警察に癒着したマスメディアの排除を

これら警察組織の問題が改善されないのは、警察を監督する立場である都道府県の知事と警察行政に対し目を光らせるべきである国会議員の怠慢だろう。警察組織自体には自浄能力がないため、知事や議員らが動き、例えば独立した第三者による警察組織の監視と改善、情報公開と活動内容の透明化などが早急に推進される必要があるのではないだろうか。なによりもまず優先されるべきなのは情報のオープン化で、現在起きているあらゆる問題を明らかにし公開する必要がある。また情報公開のプロセスにおいてはこれまで行き過ぎた便宜を得たり、問題のある方法で情報入手するなど、警察との癒着をおこなってきたマスメディアを情報公開プロセスから排除し、直接市民の側を向いた情報のオープン化を目指さなくてはならない。

しかしここまで大々的に情報を流して逮捕をおこなった警察は、今回の逮捕に相当な自信があるようだ。しかし、今回の逮捕がまたも誤認であったら……想像するのも恐ろしいが、それでもやはり同じようなことが今後も繰り返されるのだろうか。

過去に『2ちゃんねる』で薬物取引に関連する書き込みの削除をめぐって、まったく関係のないガジェット通信編集部が家宅捜査を受けたことがある。その際も真っ先にマスコミから電話が掛かってきたり、編集部の前にマスコミが張り込みを行うという、今回と似たような事が起きた。

情報漏洩「なんのため?」

このような情報漏洩は、今回の事件だけに限らずいくつかの疑わしい事例が見受けられる。なんのために漏らすのかはケースバイケースであろうが、次の様なときに情報を漏らすようである。

・ほかの大きな事件をうやむやにしたい際(警察にとって都合の悪い事件)。
・容疑者を晒し上げにしたい際。
・容疑者逮捕の瞬間を大勢のマスコミに撮って欲しい。
・政治がらみ。

実は記者はガジェット通信及び、ライブドアに対する検察による家宅捜査に偶然立ち会っている当事者でもある。勤めてる会社が2社連続で家宅捜査を受けるなんてそうそう無いことであるが、幸いにしてどちらの会社も未だに健在で、ライブドアに至っては『LINE』で絶好調である。ガジェット通信も、もしかしたらこれから絶好調になるのだろうか。
それはともかく、違法な情報漏洩や、不当な捜査が今後繰り返されないことを願う。それにはやはり、権力を行使する警察や検察を監視する独立した第三者機関をつくる必要があるのではないのだろうか。都道府県知事や国会議員は早急に動いてほしい。

PC遠隔操作事件容疑逮捕30歳の男性 過去にも犯罪予告で実刑を受けていた

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PC遠隔操作事件容疑逮捕30歳の男性 過去にも犯罪予告で実刑を受けていた

※この記事は、ゴールドラッシュの「ソル」が執筆しました。[リンク]

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ソル

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