私は、良く働き、良く遊び、良く恋をする人間なので、泣き暮らすより次の恋。
恋多き人生だったと思います。
子供も大きくなり、プロポーズされた事から、真面目に結婚を考えた途端破断。
さすがに参って・・・子供みたいに派手に泣きました。
心機一転新しい仕事についての報告をしに教会にお参りした帰り道・・・
ひったくりに会いました。
ピンヒールのミュールで走れる訳も無く。
よろよろ追い縋りながら「お願い書類だけでも返して!」
そのバックの中には就職先の書類一式。
重要な機密書類では無かったものの、定期購入金、保険書、印鑑、キャッシュカード・・・入社前にそれは無い。
相手は自転車。
悠々と逃走。
そこに、飛び出した逞しい背中が、軽快に走り去って・・・
警察に通報中、やがて戻ってきたその人が「ごめん、捕まえられんかった。」
息を切らしながら私の前にしゃがみこみました。
お礼もそこそこに、警察が到着したので、その人は、事情を説明した後、私を優しく気遣い手を振って去って行きました。
現場検証、事情徴収、巡回捜査と付き合い帰宅はずいぶん遅くなり、人心地ついてから、ようやく、私の為に危険も顧みず、勇敢にひったくり犯を追ってくれた彼に、十分なお礼が出来ていなかった事が悔まれました。
彼が作業服を着ていたので、着工中の建物で仕事をしていたのではと思い至り、休みの日に訪ねて見ました。
話してみると礼儀正しく清潔で爽やかな人柄が、どうも、ガテン系らしくない彼に気を許し、お食事に誘いました。
見も知らない人に有り得無い話なんですけれど。
その時の彼は、とても、明るく誠実に見えたのです。
ホントは、とても不安で、後悔しました。
でも、私の行きつけの店なら安心できると、警戒して駅に隣接した駐車場の離れているちょっとおしゃれな多国籍レストランを指定しました。
ところが、待ち合わせ場所に現れた彼は・・・見違える程、きちんとしてて、スーツ姿が良く似合いました。
しかも、車は、「セルシオ!?」有り得へん!
自己紹介で渡された名刺は・・・!!
心の片隅で、おしゃれな店にして良かった~(汗)
恋愛慣れしてる私は、巧みに彼から家族構成、年収、その他必要な情報をさりげなく聞きだし、勿論、自分が最も奇麗に見える位置に席を予約していたので、仕事一筋真面目な彼は、赤子の手をひねるより簡単に瞬殺で落ちました。
3回目のデートで「貴女を愛しています。」と言わせ、現在、私の可愛いダーリンです。
まあ、実情はたいして金持ちでも無かったと言う落ちが有るんですけどね。