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インタビュー

DAISHI DANCE 『WONDER Tourism』



別プロジェクトや多くのアーティストとの仕事、DJとして全国の現場を巡る日々——そこで得た経験や感触を注ぎ込んだ久々のオリジナル作!



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ジャパニーズ・ハウスの第一線に立ち、このサウンドをJ-Popフィールドにも浸透させてきたDAISHI DANCEが、4枚目のニュー・アルバム『WONDER Tourism』を完成させた。アーティストのプロデュースをはじめ、→Pia-no-jaC←とのコラボやMITOMI TOKOTOとのプロジェクト=Limited Expressの立ち上げ、さらにはノンビートのアンビエント作品『beatlessBEST...Mellow Relaxation.』を発表したりと、ここ最近もさまざまな形でエネルギッシュな活動を見せてきた彼だが、自身の名義によるオリジナル・アルバムは実に3年ぶりとなる。

「2006年のファースト・アルバム(『the P.I.A.N.O set.』)を作る時に考えたのは、DJでかけるダンス・ミュージックと、DJ以外の時に聴いている久石譲さんの作品のような、ピアノで感動できるできる音楽とを融合できないかなってことだったんです。そのアイデアを元に1年に1枚オリジナル・アルバムを出してきたんですが、前作『Spectacle.』の時点で当初やりたかったことはすべて表現できたと思って。ひと区切り付いたんで、アッパーハウスの別名義で活動したりミックスCDを出したり、K-Popのプロデューサーなどいろんなことをやってたら3年経ってしまったんです(笑)。そういう前作以降にトライしてきた要素を自由に詰め込んだのがこのアルバムですね」。

ここでも過去3作同様にヴァラエティー豊かなゲスト・アーティストが大挙して参加。優美なストリングスをフィーチャーしたセシル・コルベルとの“Take me hand”で聴ける従来のスタイルも踏襲しつつ、地元である北海道のバンド・NOISEMAKERを招いたロック的な質感の“NEW GATE”あたりで聴ける、DAISHI DANCEのイメージを刷新する楽曲も盛り込んでいる。また前作で窺えた、生音を抑えめにしたよりエレクトロニックなアプローチも強く打ち出しているのが印象的で、Crystal Kayが参加した“FANTASTIC JOURNEY”などに顕著なトランシー&レイヴィーなサウンドを全編で味わうことができる。

「最近は、R&Bとかポップスの人たちがハウスを採り入れる流れのなかで、EDMってカテゴリーが出来ているじゃないですか。そういう流れを受けてダンス・ミュージックのシーンも変わってきてますよね。自分はDJで毎週全国を飛び回っていて、そこからのフィードバックで曲を作ってる。だから作品にもいまのフロアの感覚が無意識に入るんです。トレンドって、意識して狙いすぎても流行ってるものの模倣にしかならないと思うんですよ。そういう意味でDJ活動は重要ですね」。

DAISHI DANCE=ピアノ主体の柔らかなサウンドというイメージを脱ぎ去り、モダンでマッシヴなビートを展開する一方で、デビュー以来の持ち味であるメロディアスなセンスも健在だ。クラシカルでしっとりとした“Predestinate”にも、90sなサウンドを搭載したアッパー・チューン“A.T.W!”にも、等しく叙情的でドラマティックな旋律が注ぎ込まれている。

「自分はポップなものを作ろうとは考えないんですけど、常にメロディーと直結した曲を作っているので、どれだけ感動できるものにするかってことは考えますね。自分らしくて、飽きないメロディーを作ることにこだわっている。ハードなトラックでも心を掴むメロディーがあればDAISHI DANCEらしい曲になると思うし。逆に言えば、すごくメロディアスな曲であってもクラブでそのまま機能するサウンドにしています。曲が出来たらリリース前にクラブでかけて、お客さんのリアクションとかフロアでの鳴りを確かめながら修正していくんですけど、今回は特に時間をかけてチェックできたんです。そういう意味でも自信作ですね」。



▼関連盤を紹介。

左から、DAISHI DANCEの2006年作『the P.I.A.N.O set.』(urban sound project.)、セシル・コルベルの2011年作『Songbook Vol.3: Renaissance』(Celtic)NOISEMAKERの2012年作『EMPTY BOX』(Yumechika)、Crystal Kayの2012年作『VIVID』(ユニバーサル)


カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2012年11月14日 18:02

更新: 2012年11月14日 18:02

ソース: bounce 350号(2012年11月25日発行)

インタヴュー・文/澤田大輔

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