suzumoku、エレキをかき鳴らし次のステップを提示したライヴ——OTOTOYライヴ・レポート
デビュー当初のアコーティスティック・サウンドから一転、近年エレクトリック・ギターでの演奏を取り入れ、アグレッシヴで焦燥感に満ちたバンド・グルーヴを生み出しているシンガーソングライター、suzumoku。彼が今年の7月から行った3ヶ月連続シングル・リリースの最終作『泥雲』が完成した。今までと同じくOTOTOYのみ1週間先行、しかも24bit/48kHzのハイレゾ音源でお届け! さらに今シリーズを締めくくるかような3曲収録の8月19日のライヴ音源をOTOTOY独占で配信!! 会場の空気感と彼の熱意が生々しく封じ込められた今作は、足を運んだかたはもちろん必聴の音源であろう。
またこのライヴ音源、3ヶ月連続シングル・リリースを通して、suzumokuがライヴで具体的になにを訴えかけ、どのような立ち振る舞いで音を紡ぎ出しているかがどうしても気になり、9月17日に行われたライヴのレポートを敢行。足を運んだ方はもちろん、行けなかった方もこのライヴ音源と先行発売中のシングルとともに今レポートを楽しんでいただきたい。
>>3ヶ月連続リリースについてsuzumokuへ迫ったインタヴューはこちら
OTOTOY独占! 8月19日、渋谷CHELSEA HOTELでのライヴから新曲をコンパイルしたライヴ音源
suzumoku / 2014.08.19 LIVE at CHELSEA HOTEL
【配信フォーマット】
ALAC / FLAC / WAV / mp3 : まとめ購入600円(税込) 単曲200円(税込)
【Track List】
01. サヨナラ日常
02. カタパルト
03. 泥雲
3ヶ月連続シングル配信第3弾(1週間先行配信中!)
suzumoku / 泥雲
【配信フォーマット】
[左] ALAC / FLAC / WAV(24bit/48kHz)
[右] ALAC / FLAC / WAV / mp3
【配信価格】
[左] 単曲購入 : 400円 (税込)
[右] 単曲購入 : 200円 (税込)
【Track List】
01. 泥雲
3ヶ月連続シングル配信第2弾
suzumoku / カタパルト(24bit/48kHz)
【配信フォーマット】
[左] ALAC / FLAC / WAV(24bit/48kHz)
[右] ALAC / FLAC / WAV / mp3
【配信価格】
[左] 単曲購入 : 400円 (税込)
[右] 単曲購入 : 200円 (税込)
【Track List】
01. カタパルト
3ヶ月連続シングル配信第1弾
suzumoku / サヨナラ日常(24bit/48kHz)
【配信フォーマット】
[左] ALAC / FLAC / WAV(24bit/48kHz)
[右] ALAC / FLAC / WAV / mp3
【配信価格】
[左] 単曲購入 : 400円 (税込)
[右] 単曲購入 : 200円 (税込)
【Track List】
01. サヨナラ日常
LIVE REPORT : 9月17日 渋谷CHELSEA HOTEL
3ヶ月連続シングルを配信リリース中のsuzumokuが、9月17日(水)に渋谷チェルシーホテルにて行われたフリー・ライヴ企画に出演した。彼は同企画に7ヶ月連続で参加することを明らかにしており、この日のライヴで早くも5ヶ月目。さらに毎月必ず新曲を披露することを約束するなど、まるでデビューしたての新人のようにストイックな姿勢を見せている。実力もキャリアも十分なsuzumokuが、なぜここまでの挑戦を続けるのか。当日の模様をお届けする。
当日の演奏はこれまでのフリー・ライヴと同様にスリー・ピース編成で行われ、SEとともにsuzumokuとサポート・メンバーが登場。suzumokuは気合十分に両手を上げ「今夜もかっ飛ばすぜ!」と叫び、1曲目「悔しさのスリーカウント」がスタートする。
この日は多くの来場者がフロアを埋めていたが、さまざまなジャンルのバンドが出演するフリー・ライヴということだけあって、一見するにsuzumoku目当てではないお客さんも多々見受けられた。しかし、1曲目からギターの弦が切れてしまうほどのダイナミックなバンドの演奏や、加えて、そのハプニングをものともせず「このハンデを背負いながら見事完走して見せましょう」と笑いを誘う姿に、徐々に観客は惹きつけられていく。
2曲目の演奏を終えると、ここからは「多事争論3部作」と銘打たれ、3ヶ月連続配信リリースされているシングルを中心にライヴを展開。問題が山積みの世の中に目線を向け、「このままじゃだめだ」と強く人々に訴えかける楽曲群とだけあって、より焦燥感にまみれた演奏が続いていく。エッジの効いたギター・カッティング、ドカドカと変拍子を刻むドラムなど、衝動をむき出しにしたような楽曲「サヨナラ日常」ではまくし立てるように言葉を放っていき、続く「カタパルト」でも前に出てギターを激しくかき鳴らすなど、怒りにも似た強いエネルギーを感じさせた。ブルージーなギター・リフから幕を開けたのは、3部作の最後を飾る「泥雲」。前2曲とは一転、ヘヴィーな印象を与える楽曲で「誰か助けてよ 支配してくれよ」という歌詞が重たくのしかかる。
インタヴューでもsuzumokuは、悪化する社会情勢に対して「もう、知らぬが仏では済まされない」と語っていたように、この日のMCでも、時おり語気を強めながら、世の中に対する不安を繰り返し語っていた。そのなかで彼が言った「俺は素直にいま思ってる言葉を歌にして、バーンとみんなに伝える、それがいまできることなんじゃないか」という言葉。これは、なぜ「サヨナラ日常」をはじめとする新曲の数々が生まれたのか、なぜ7ヶ月連続のフリー・ライヴへの参加を決めたのか、という問いに対するひとつの答えになっていたように思う。彼は心情を素直に映した音楽を通じて「このままじゃだめだ」とより多くの人、suzumokuを知らない人にまで向けて、働きかけようとしているのではないだろうか。
そしてライヴの最後では、公約通り今回初披露の新曲として「足跡」が披露された。同曲は心のなかにある忘れられない景色をテーマにした楽曲で、郷愁を誘うようなワードや、耳に馴染むメロディが散りばめられたバラード・ナンバー。力強いサビがクライマックスに向け何度も繰り返され、曲が終わると「ありがとう。suzumokuでした。」と言い残し、ライヴは幕を下ろした。
約40分ながらも、現在の鋭く尖ったsuzumokuのモードや、彼が社会に抱く思いが十分に伝わったステージだったように感じる。社会的批評の要素を盛り込んだアーティストはどこか重苦しい印象を与え、敬遠されることも少なくない。それでもsuzumokuは、勇気を持って社会に発信していくことを選んだ。12月にはこれまでの総決算的企画として、ワンマン・ライヴが行われる。それまでに、より多くの人の心に彼の音楽が届いてくれれば幸いだ。ワンマン公演までフリー・ライヴはあと2回予定されているので、ぜひ興味を持った方は一度足を運んでみてほしい。(text by 鶯巣大介)
LIVE INFORMATION
渋谷CHELSEA HOTEL フリー・ライヴ(BAND STYLE)
5月より、毎月出演、毎月新曲を発表中
2014年10月15日(水)@渋谷CHELSEA HOTEL
2014年11月12日(水)@渋谷CHELSEA HOTEL
料金 : 無料(ドリンク代別)
出演 : suzumoku / and more…
JAPAN FOLK FESTIVAL 14(SOLO STYLE)
2014年9月26日(金)、27日(土)、28日(日)@ゆうパークおごせ
※suzumokuの出演は26日(金)、27日(土)
KYOTO ROOTER×2 presents 「SPACIUM光線」(SOLO STYLE)
2014年10月31日(水)@KYOTO ROOTER×2
料金 : 前売り¥3,000 / 当日¥3,500
出演 : suzumoku / 古舘佑太郎(The SALOVERS) / 植田真梨恵(O.A simple story ※Acoustic set)
「suzumoku band one-man live, 2014~明日が来るぜ~」(BAND STYLE)
2014年12月10日(水)@渋谷CHELSEA HOTEL
時間 : OPEN 19:00 / START 19:30
料金 : 前売り ¥4,000 / 当日 ¥4,500 (ドリンク代別)
出演 : suzumoku
一般販売 : 2014年10月18日(土)
お問い合わせ : サンライズプロモーション東京 TEL : 0570-00-3337
suzumoku過去作はこちら
PROFILE
suzumoku
2007年、アコースティック・ギターを片手に音楽シーンに突如現れ、アルバム『コンセント』でデビュー。その荒々しくも正確なフィンガリング、独自性、強烈な歌声は“オルタナティブ・フォーク”と形容された。当時の代表曲である「週末」は、社会に出て次第に世間に染まっていく若者の葛藤を歌い、時に優しく、時に厳しく、常に明確なメッセージを伝えようとする現スタイルの萌芽が、この時すでに見て取れる。
2011年、ツアー先の仙台に向かう道中で東日本大震災が起こり、被災。現地での避難所生活の中、互いを助け合う心に触れ、「僕らは人間だ」を作曲。震災から二日後にYouTubeで発表し、チャリティー・ソングとしても大きな話題を呼んだ。そして、東北の状態をより多くの人々に伝えるべく、ツアーの続行を決意。同曲を全国に届けた。
この体験から、メッセージをより遠くにまで届けたいという想いが強くなり、エレキギターを掴む。以降、徐々にその音楽スタイルはフォークからロックへと変化してゆき、弾き語りだけではなく、バンド編成でのライヴも積極的に繰り出すようになる。
2013年、キャリア初のフルアルバム『キュビスム』を発表。収録された「蛹」や「モンタージュ」は、独自の視点で捉えた様々な現代の側面を描き、その音楽性の広さと歌詞表現の多彩さを見せつけた。
2014年初頭、矛盾を抱えたまま空回りする社会に怒りをぶつけるが如く、さらに激しいロック・サウンドへと移行。バンドを率い、“毎回新曲を披露する”という公約のもと、同年5月より渋谷“CHELSEA HOTEL”でのフリー・ライヴを毎月決行している。
2014年12月10日、自身にとって音楽生活の集大成とも言えるワンマン・ライヴが決定。その場では2015年2月にリリースとなるニュー・アルバムの超先行販売も行われる。
現在までにミニ・アルバム4枚、コンセプト・アルバム3枚、フル・アルバム1枚を発表。デビュー前はギター職人という経歴の持ち主。