ビジネス

住宅ローン返せない人増加 家捨てても債務から解放されない

 いま、住宅ローンを返せずにマイホームを手放す人が増えている。不動産競売流通協会のまとめによると、2010年度の競売件数は5万1746件。リーマンショック直後の2009年度よりは7000件ほど減少したものの依然高水準だ。
 
 消費者ローンに詳しい弁護士の瀧康暢氏はいう。
 
「住宅ローンの相談に来る人が昨年6月あたりから急増しています。圧倒的にボーナス払いができなくなった人が多い。マンションだと、20戸に2戸が滞納を抱えており、1戸(5%)は競売に入っている状況です」
 
 実際にローン破綻する場合は次のようなプロセスをたどる。
 
「ローンの支払いを3か月連続で滞納すれば、金融機関から法的手続きに入る通知が来ます。そして半年後には競売の手続きに入ります。ただ、最初に通知が来た時点で返済方法を変更したり1か月分でも払うことができれば、法的手続きを先延ばしにできる場合もあります」(瀧氏)
 
 住宅を手放しても、借金が残ると悲惨だ。そもそも、アメリカの住宅ローンは、債務者は住宅の処分以上の責任を問われないノンリコースローン(非遡及型融資)であるが、日本では住宅が担保割れしていれば不足分の債務を負わなければならないリコースローン(遡及型融資)である。
 
 住宅問題に詳しい神戸大学大学院教授の平山洋介氏が語る。
 
「ローン・トゥ・バリュー(LTV)、つまり住宅価格に対するローンの比率は、ドイツでは50~60%程度であるのに対し、日本では100%の場合も多い。だから、資産価値が下がるとすぐに担保割れになる」
 
 返済できなくなっても金融機関に鍵を送って家を出れば債務から解放されるというわけにはいかないのだ。「任意売却できた場合でも、その後は残った借金に苦しむケースがほとんど。残債が200万~300万なら何とか頑張ることもできますが、1000万円以上残っていれば、ほとんどの人が自己破産までいきます」(瀧氏)

※週刊ポスト2012年2月24日号

関連キーワード

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン