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ストレスで無気力になるアジソン病 治療遅れると命に別状も

副腎皮質は多数のホルモンを分泌し、体の代謝などのバランスを調節する。左右の腎臓のすぐ上にあるためこの名で呼ばれる、直径3センチに満たない小さな臓器だ。

ストレスを受けるとその情報は視床下部に届き、CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)が分泌され、その刺激で下垂体からACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が産生され、さらにその刺激で副腎からストレス対抗ホルモンのコルチゾール(副腎皮質ホルモン=ステロイド)が分泌される。この副腎皮質の機能が低下し、ホルモン分泌ができなくなるのがアジソン病だ。

症状は筋力低下、全身倦怠感、脱力感、低血圧、低血糖、食欲不振、嘔吐などの身体症状のほかに、無気力、不安などの精神症状を訴えることもある。また掌の手相の筋や膝、肘のシワが黒く色素沈着することもある。ゆっくり進行するため自覚症状が認識しにくく、発見が遅れることが多い。

診断は問診に加え、血液検査を行なう。副腎からコルチゾールが出ていないと、ATCHが大量に放出されホルモン分泌を促すのでATCHの血中濃度が高くなる。また、確定診断にはATCH刺激検査を行ない、副腎機能の低下を確認する。脳波検査では、全般的な低下と徐波化が認められることもある。

東邦大学医療センター大森病院リウマチ膠原病センターの川合眞一教授に聞いた。

「治療は不足するステロイドホルモンを補充します。急性では水分、塩分、糖分の補給も不可欠で、治療が遅れると命にかかわることがあります。一般に健常人の副腎から分泌されるコルチゾールは1日10ミリグラムですが、ストレスがかかることも考え1日15~20ミリグラムを服用します。毎日適切な量を継続することで、良好な生活が可能です」(川合教授)

(取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2011年12月9日号

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