葬儀社は御葬家の苛立ちをストレートに受けやすい職業だといえる。
最近は葬儀までの日数がかかる場合が多いから、
その分被害も増え気味になる。
それが葬儀社で働く者の知られざる悩みである。
自分だけが不幸なのは理不尽だと怒る。
あれもこれも決めなきゃならないなんて不愉快だ、と食って掛かる。
そんなことは序の口で、時になんでもありの世界が展開される。
御葬家はいつもと違う心理状態にあるから心情的には理解できるが、
当方の責任ではない事まで口汚く罵られては立つ瀬が無い。
その頃妙に突っかかってくる喪主さんに出会って
わが身の不運を嘆いていたが、
世の中には、上には上があるものだ。
某葬儀社では以下のような信じがたい事例があったと聞き及ぶ。
見積もりの時からエリート意識丸出しで
「超一流の帝○ホテルで葬儀をやりたい」
と無理を言ったり、
「ケータリングの△△?そんなの聞いた事が無い。
(無名だから)どうせ不味いに決まっている。
お前はもっと有名な料理屋も知らないのか」
と小馬鹿にしたり、
「試食してやるから○時にもって来い」
等々。
なにかにつけ居丈高な喪主が居た。
他人の話は一切聞かず、自分の都合ばかり並べ立てるその言動は、
葬儀関係者がいたたまれないほど傲慢で執拗だったそうだ。
ようやく葬儀が終わってほっとしたのもつかの間、
問題の喪主が突然電話をかけてきた。
開口一番
「君はトンデモナイことしてくれたねぇ。
警察を呼んでるから○時に来いっ」
で、ガチャッ。
受けたほうは「???」。
いったいなにがあったの?
警察を呼んでるってどういうこと?
事情がわからぬまま○時に電話すると
「ああ、あれはもういいから」
のひと言で終り。
(「ひとを犯罪者扱いしておいて、そんな言い草があるか。
逆に誣告罪で訴えるぞ!」
とオレだったら言いたいところだ。)
誰も自分には逆らえないと勘違いしているパワハラ喪主に、
温厚な担当者は人権侵害も甚だしいと怒り狂っていたそうだ。
喪主の職業を聞いて驚いた。
なんと弁護士だと。
こんな奴には、所属する弁護士会からキツ~くお仕置きして
もらわにゃ~やってらんねェよね、同業者諸君!