患者が訴える症状の中で、最も多いのが頭痛だといわれる。頭痛は脳神経の神経自身が痛みを感じて起こるわけではない。脳神経は全く痛みを感じることはなく、脳に栄養を与えている血管拡張や脳を包んでいる硬膜への刺激を痛みと感じている。
血管が拡張するとセンサーが引き伸ばされて反応し、痛みとして感じるために頭痛が起こる。頭痛自体は病気ではなく、頭痛を起こす原因があり、それを特定するのが重要だ。 東京女子医科大学脳神経外科学の岡田芳和主任教授に話を聞いた。
「頭痛には大きく分けて機能性頭痛と症候性頭痛があります。機能性頭痛は、片頭痛や筋緊張型頭痛などつらい頭痛ですが、怖くない頭痛です。症候性頭痛は何か原因があって起こる頭痛で、クモ膜下出血や脳腫瘍など命に関わる怖い頭痛もあります。外来を受診される約95%は、機能性頭痛の患者さんです」
原因がある症候性頭痛は、外傷や感染症、薬物による頭痛のほか、クモ膜下出血などの脳血管障害によるものや脳腫瘍などがある。何の前触れもなく今まで経験したことがないような頭痛が起こることもある。
特に怖いのがクモ膜下出血や脳出血で、頭痛のほか意識障害やマヒなどを合併することもある。クモ膜下出血は年間5000人に1人位発症し、約40%が3日以内に死亡する命に関わる怖い頭痛であり、ちょっとした予兆も見過ごさないことが肝心だ。
(取材・構成/岩城レイ子)
※週刊ポスト2013年3月29日号