永野護にしか作りえない美しいフォルムを持つゴティックメイド、カイゼリン/[c]EDIT

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とある星を舞台に、国家間の戦いに巻き込まれていく人々の姿と、“ゴティックメード”と呼ばれる巨大ロボットによる戦いを描くSFアニメ『花の詩女 ゴティックメード』(11月1日公開)。今やロボットアニメなど、さほど珍しくはないものの、本作が幅広い世代のアニメファンから注目を浴びるのは、監督・原作・脚本などを手がけた永野護の渾身の一作だからだ。

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永野護は「機動戦士Zガンダム」でモビルスーツのデザインを手がけた。前作の「機動戦士ガンダム」では、大河原邦男による重厚感のあるモビルスーツが特徴だったが、永野のZガンダムをはじめとする、モデル的な細身のデザインが人気を呼んだ。

そんな彼の評価を確実にしたのが、「重戦機エルガイム」だ。ヘビーメタルと呼ばれる巨大ロボットはその骨組みが見えたり、中世の騎士がまとう甲冑のような斬新なデザインが印象的だった。同作ではキャラクターデザインも手掛けており、女性キャラクターは、顔に対して目を大きく描く、今風の美少女キャラとは異なり、細面に小さく細い目、細身で可愛らしいというよりも美人というタイプが多いのも永野らしさ的だった。

同作で作り上げた永野護の世界は、アニメ誌の月刊ニュータイプに連載され、アニメ映画化もされた「ファイブスター物語」でより確立された。本作『花の詩女 ゴティックメード』はそんな彼の一連の作品の集大成的なものとなっている。完成まで随分時間がかかったが、そんな永野ファンの期待に必ずや応えてくれる力作となっているのは間違いないところだ。【トライワークス】