見逃すと損！意外に多い地方公共団体の住宅リフォーム支援制度

国土交通省は、全国の地方公共団体に対して、実施している住宅リフォームの支援制度の状況を調査し、その結果を発表した。2012年3月に策定された「中古住宅・リフォームトータルプラン」において、一元的な情報の収集・提供が求められていることを受けて、昨年に引き続き調査したもの。

地方公共団体でも、政策課題に対する支援制度が充実

調査結果によると、47都道府県すべてでリフォーム支援制度を実施していた。特別区を含む市区町村では、1742のうち1485で実施しており、多くの公共団体でなんらかのリフォーム支援制度（※）があることが分かる。
※住宅所有者やリフォーム事業者に直接支援するもの（都道府県は市町村の事業に間接的に支援するものも含む）

具体的な支援内容は、「補助」（現物支給･給付･商品券等を含む）が4168と大半を占めるが、「利子補給」160、「融資」149、「専門家の派遣」15なども見られた。

どういったリフォームを支援しているかというと、高齢者や障害者が暮らしやすいように、通行路の幅を広げたり、段差を解消したりといったバリアフリー化への支援（1402）が最も多く、次いで、窓や床・壁・天井の断熱性を上げる省エネリフォームや太陽光発電などのエコ設備の設置などの省エネルギー化に対する支援（1245）、浄化槽設置、ゴミ処理機設置、緑化促進などの環境対策への支援（1070）と続いた。

しかし、実際に最も多いのは、耐震診断・耐震改修などの耐震化に対する支援だ。というのも、今回の調査では、日本建築防災協会で耐震化に関する支援制度を調査しているため、重複するとして調査対象から外しているからだ。平成24年度の調査では、耐震化への支援制度は2387あり、2位のバリアフリー化の1391を大きく超えていた。旧耐震基準の木造住宅の耐震改修は、大地震が懸念されるため緊急課題であり、国が強く推進しているので、支援制度を設けている地方公共団体は多い。

こうして見ていくと、高齢化社会への対応や国際的な地球環境への配慮など、国として推進しているリフォームに対して、地方公共団体の支援制度も多いという構造になっている。しかし一方で、地域固有の事情に対応した、寒冷地域での克雪対策や都市部での防犯対策などへの支援制度もある点が、地方公共団体の大きな特徴だ。

※国土交通省「地方公共団体における住宅リフォームに係る支援状況調査の結果について」より

リフォーム支援制度を利用する際の注意点は？

地方公共団体の支援制度は、年度ごとの予算で事業化される。予算管理のため、支援制度を利用する場合は、事前に申請をし、承認されて交付が決定したうえで、リフォーム工事に着手し、完了後に補助金などの請求を行うというのが基本的な流れになる。さらに、申請の受付期間を定めているケースが多いので、受付期間内に事前に申請しないと、補助金などが受けられないことになる。

したがって、利用する際には、事前に利用できる条件は何かを確認し、必要な書類などを用意できる工程を踏んで、リフォーム工事を行うように段取りする必要がある。

では、実際に自分が住んでいる地方公共団体で、どういったリフォーム支援制度があるかを調べるには、どうしたらよいだろう？

簡単に調べられるのは、調査情報を掲載している以下に紹介したサイトだ。どういった支援制度があるのかの概略を調べたら、必ず居住している地方公共団体に直接問い合わせるか、サイトで具体的な情報を調べるかしよう。また、事前申請で補助金等が予算枠に近づくと、受付期限が早まる可能性もあるので、こまめに確認するとよいだろう。

リフォーム費用を抑える効果がある地方公共団体の支援制度だが、条件の確認や手続きなど複雑な面もある。すべてをリフォーム発注者が行うのは、簡単なことではない。したがって、リフォーム事業者がしっかりサポートしてくれることがカギとなる。リフォーム事業者選びには、こうしたサポート体制もチェックポイントにするとよいだろう。