首相、円高・経済対策を検討 エコポイント延長浮上
菅直人首相は16日、経済閣僚に対して円高の影響など景気の現状分析を指示するとともに、閣僚の報告を踏まえて円高・経済対策の検討に入る考えを明らかにした。政府・与党内では(1)12月末に終える予定のエコポイント制度の延長など消費刺激(2)新卒者の就職支援(3)円高に苦しむ中小企業の資金繰り支援――などが柱に浮上している。
首相は同日、荒井聡経済財政相、野田佳彦財務相、直嶋正行経済産業相の3閣僚に「近々それぞれの立場でいまの日本の経済の状態をしっかりみたうえで報告してほしい」と指示。「そういう中から今後のことは考えたい」と対応策の検討を示唆した。
内閣府が同日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報値が前期比年率で実質0.4%増に鈍ったことや最近の円高・株安を念頭に「為替の問題を含めて注意深くみておく必要がある」とも強調。円相場とともに景気の動向を注視する考えを示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
民主党の政策調査会幹部も同日、「需要喚起や雇用対策を中心とした追加経済対策が必要だ」と指摘した。
財源としては2010年度予算に計上した経済危機対応・地域活性化予備費の未使用分から約9000億円、09年度決算の剰余金から8000億円程度の合計1兆7000億円が使える見通し。政府内では財政のさらなる悪化を懸念し国債の増発に慎重な声が多い。
9月末に期限を迎えるエコカー補助金も焦点となるが、直嶋正行経済産業相は7月30日の記者会見で「9月以降も何らかの対応が必要という状況ではない」と延長を明確に否定している。
円高に対しては、政府・日銀による外国為替市場での円売り介入や、日銀による資金供給手段の拡充を含めた金融緩和策などを求める声もある。菅首相は6月に白川方明日銀総裁と会談した際に3カ月に1回をメドに定期的に会談することを確認しており、両者が近く会談するとの観測も浮上している。