根深いiPhone 4の電波障害問題...バンパー無償配布を求める署名活動へ

  • author 福田ミホ
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根深いiPhone 4の電波障害問題...バンパー無償配布を求める署名活動へ

Facebook上で署名が始まっています。

アップルはiPhone 4電波障害の問題を認識しています。そして解決策と言えば、「持ち方を変えろ、でなきゃケースを買え」だそうです。

でも、この問題の原因がiPhone 4のデザインにあるのなら、それを根本的に修正するか、ケースを無料配布するか、すべきではないでしょうか。

我々は、iPhone 4の電波障害問題の一因がアップルの社内文化にあることをつかんでいます。つまり、iPhone 4に限らず今後のアップル製品でも、似たようなことが起こりうるということです。

続きで詳細をお伝えします。

アップルのエンジニアリングチームに在籍する情報源によると、iPhone 4の電波障害問題は、アップルのデザイン重視の文化が引き起こす諸症状のひとつだ、ということです。

アップルでは新製品開発の際、製品デザインに関し極めて融通の利かない命令が下されるのです。アップルのデザイン責任者、ジョナサン・アイブと、彼が率いる工業デザイナーチームは、製品デザインに強硬にこだわるあまり、殺気立つことすらあるそうです。しかも彼らの考え出すデザインは、見た目には美しいものの、実装が難しかったり、高い機能性を実現しにくかったりするものなのです。

アップルのエンジニアたちは、デザインの制約によって起こる諸問題(例えば温度上昇の問題や、金属が無線電波を通さない問題)に対処すべく、非常に苦労しています。アップルの工業デザインチームが社内で異常な力を持っていることが、今回のiPhone 4の電波障害の一因になっていると思われます。

・問題の大きさ

iPhone 4ユーザーから寄せられた、動画を含む多くの報告に加え、米Gizmodoでは非公式な調査を行いました。その結果、iPhone 4ユーザーの約40パーセントが、自らこの電波障害の問題を経験したと回答しています。

他のサイトでも同様のパーセンテージになっています。イギリスの携帯電話比較サイト、Righmobilephoneでは、836人のiPhone 4ユーザーのうち、93パーセントがこの問題の影響を受けたとしています。(アメリカのユーザーは、問題があってももともとAT&Tの電波状況が悪いのでそのせいだと思ってしまうことで、パーセンテージが低いのではないかと思われます。)この93パーセントのうち、63パーセントはスティーブ・ジョブズの「持ち方のせいだ」という反応に対し「非常に立腹している」と回答しています。

これほど多くの苦情は前例がありません。米Gizmodo編集部でも、この問題には何度も遭遇しています。一部、最初は気付かない記者もいましたが、数日経つとみんな、気が付くようになりました。こうなると、問題は「電波障害に遭遇するかどうか」というよりも、「いつこの問題に気が付くか」ということになります。

・アップルの反応

アップルでは、「アンテナに触れば、どの電話だろうと電波は弱くなる」と主張しています。それはその通りです。が、iPhone 4と他が違うのは、アンテナが端末のエッジ部分をぐるりと囲んでおり、しかもそれは使用中につねに触れる部分であるということです。

だから、スティーブ・ジョブズの「持ち方を変えろ」という提案は解決策にならないのです。ユーザーは、どんな持ち方であれ、ユーザーにとって自然な持ち方でiPhone 4を持てるようになるべきです。そうでなければ工業デザインの失敗です。ユーザーの自己表現を妨げるのですから。形が機能に忠実でない例のひとつとなってしまいます。

もし、電波障害が起こるのが特定のおかしな持ち方のときだけであれば、それは別の話です。でも、この問題は、右利きの人が普通にする持ち方、つまり、左手でiPhone 4の側面と下面を支える持ち方のときに起こっているのです。つまり、スマートフォンを使うときにはごく当たり前の持ち方ですし、逆に、そうでない持ち方の方が不自然なものになってしまいます。

アップルがもうひとつ提案している解決策は、ケースを付けることです。アップルではそれを「バンパー」として有償で販売していて、今のところそれが、iPhone 4のデザイン上の問題を解決する唯一の方法になっています。

・本当の解決策

もしアップルがこのデザインを修正せず、技術的解決策も示されないままなのであれば、彼らはバンパーをiPhone 4ユーザーに無償配布すべきです。アップルとして、バンパーが電波障害対策として有効だと言うのであれば、無料にしてくれてもよさそうなものです。

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もちろん、バンパーを付けるとiPhone 4のミニマルな美しさは損なわれます。でも、バンパーがあれば電波強度が維持されます。それに、iPhone 4のもうひとつの問題点、つまり、従来のiPhoneより壊れやすいという問題の対策としても有効かもしれません。iPhone 4は、前面だけでなく背面もガラスであり、強化ガラスを使っているために衝撃を受けると粉々になりやすく、さらには指紋がつくのを防ぐ撥油コーティングのために滑りやすく、落としやすいのです。

もちろん、新製品に障害はつきものですが、今回はそれが多いんです。そのうちの大半、たとえばスクリーンの黄ばみなどは、製造工程を細かく調整すれば解決していくでしょう。が、アンテナ問題は根本的な、デザイン上の問題であり、製品のより抜本的な見直しなくしては解決しないものです。

もしiPhone 4が、ジャンクみたいな電話であれば、別にいいんです。でも、iPhone 4はソフトウェアやアプリ、Retinaディスプレイ、そしてカメラなど、さまざまな特長によって、現在最高の携帯電話と言ってもおそらく過言ではないものです。アンテナがショートしなければ、受信感度はむしろ以前より良い、と言う人さえいます。

だから、デザインが原因のたったひとつの問題によって、多くの人が素晴らしい体験を損なわれているということがとても残念です。そのうえ、アップルがユーザーに対し「持ち方が悪い」とか「30ドル出してバンパーを買え」なんて言っていることもこれまた残念ですが。

Facebook上で、アップルにバンバー無償配布を求める署名キャンペーンが行われているようです。賛同される方は、どうぞ、こちらまで。

gizmodo(原文/miho)