ヒトはなぜ人生の3分の1も眠るのか?

| | トラックバック(0)

・ヒトはなぜ人生の3分の1も眠るのか?
41929ZVSBAL__SL500_AA300_.jpg

「レム睡眠」を発見した睡眠研究の世界的権威ウィリアム・C・デメントが一般読者向けに書いた啓蒙書。睡眠とは何か、睡眠障害の原因、よい睡眠をとるにはどうすればいいか。

ウマ3時間、ネコ15時間、コウモリ20時間、ヒト8時間。寒冷地の小型動物ほど睡眠時間は長く、温暖な気候の地の大型動物は短い。保存しておくべきエネルギー量に比例すると考えられている。人間は結構大きいので、人生の3分の1を眠って過る。

本来は8時間くらい眠る必要があるのに、現代人は仕事に遊びに一生けん命で、睡眠不足に陥ってしまう。土日にたっぷり眠って解消と考える人が多い(私もそう思っていた)が、科学的には睡眠不足は負債のように蓄積するのだ。

「蓄積した睡眠不足のことを「睡眠負債」と呼ぶのは、それがお金の負債と同じで、いつか返済しなければならないからだ。負債額が大きいと、それだけ危険な影響も増大する。また負債がたまりにたまっていると、ほんの少し返済しただけで驚くほど状態が改善されるようだ。基本的に睡眠負債は圧縮できない。つまり、ふだん8時間眠っている人が、ある晩5時間しか眠らなかった場合、次の晩に不足分の3時間を足して11時間寝ないと、1日を快調に過ごすことはできないのだ。 睡眠負債は少しずつ蓄積していく。8時間の睡眠が必要な人が、平日は6時間しか眠れないとすると、2時間×5日で10時間の睡眠負債を抱え込むことになる。たとえ土曜日に昼まで寝たとしても、それだけでは足りない。」

睡眠不足は人間の生活にあらゆる悪影響を及ぼす。睡眠の取り方は科学的に考え直さないといけない。脳は2週間前の寝不足を覚えているそうである。この本には睡眠負債判定テストがついている。

ただし、眠りを効率的に得るには多少の睡眠不足が必要という話もある。たっぷり眠っている人はなかなか寝付けなかったりする。多少の睡眠負債があるとすぐ眠れるものだそうだ。私は常に寝つきがよいのだが、要するに慢性的な睡眠不足ってことなのだろうか...。

日常的に使えるノウハウとしては、短いうたた寝がある。たとえば徹夜仕事をしなければならないときはあらかじめ短時間のうたた寝をしておくと効果的らしい。コーヒーを飲んですぐ15分くらい眠り、カフェインが効き始めるころ起きるとすっきりするとのこと。ハックだなあ。

・快適睡眠のすすめ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-848.html

・ヒトはなぜ、夢を見るのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001062.html

・人はどうして疲れるのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000877.html

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: ヒトはなぜ人生の3分の1も眠るのか?

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ringolab.com/mt/mt-tb.cgi/2869

このブログ記事について

このページは、daiyaが2010年5月24日 23:59に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「1Q84 BOOK 3」です。

次のブログ記事は「次に来るメディアは何か」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.1