次世代iPhoneのフロントカメラとiChatが電話の未来を変える?

  • author 福田ミホ
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次世代iPhoneのフロントカメラとiChatが電話の未来を変える?

次世代iPhoneに付いていたフロントカメラは、つまりビデオチャット用でしょう。でも、それ以上の意味もあるかもしれません。最近あった他のリーク情報も含めると、今後アップルはiChatiPhoneに搭載しようとしているようです。それによって、大きな変化が起こるかもしれません。

iChatの存在

いろいろな情報をつなぎ合わせると、こういうことになります。

・iPhoneのフロントカメラはビデオチャット用

・リーク情報によると、iPhoneのビデオチャットはiChatの一部として登場

・iChatが搭載され、3GでのVoIPも可能にくなった、ということは、iPhoneでボイスチャットもできる(もしかしたら古いiPhoneでも)

・iChatというブランディング、iPadの登場、新OSでのマルチタスク対応などを総合すると、iPhone・iPadがデスクトップアプリと互換性を持ち、バディリストも共有できそう

・iPhoneとデスクトップが互換性を持つ→iPhoneでもデスクトップでも関係なく相互通話が可能になる

音声通話やSMSはデータ通信のひとつの機能なのに、現在は他の機能と比べて割高に感じます。今のiChatはよくできていて、従来の電話やメッセージングの代替としても使えるし、従来の電話が不便に感じられるくらいです。

この問題について、アップルが必要なことをちゃんとやってくれれば(これは大きな仮定ですが)、電話やメッセージングがもっと人間的に、使いやすいものになるのではないでしょうか?リアルタイムのコミュニケーションがテキストでも音声でもビデオでももっと簡単になり、それらの違いを意識する必要もなくなっていくのでは?

続きで、さらに考えてみます!

ビデオチャットの難しさ

これはソフトウェアの問題で、ハードウェアの問題ではありません。3G携帯にフロントカメラが付いて久しくなり、多くのキャリアがテレビ電話機能を有料で売り込んでいます。でも、AT&Tのリアルタイムビデオ共有Video Shareを例にとると、ビデオを送れるのは一方向で、しかもAT&Tユーザー同士でしか使えず、機種や料金プランも限定という使い勝手の悪いものです。ヨーロッパや日本ではテレビ電話がもっと広く使えるようにはなっていますが、実際はあまり使われていません。ハードウェアもネットワークも揃ってはいますが、全てをうまくまとめて機能させる方法がないのです。

キャリアに制限があったら、うまくいかないのは当然です。テキストメッセージでさえ、キャリア横断でないときはあまり普及しませんでした。AT&Tのように双方向でないビデオは、「お互いに顔を見て話す」というコミュニケーションの暗黙の了解に反するもので、違和感があります。また、携帯電話ネットワークの安定性の問題もあります。デスクトップマシンからブロードバンド接続を使ってのビデオチャットでさえ不安定なことがあるのに、携帯電話のネットワークで、ビデオのクオリティをちゃんと保証できるでしょうか。

キャリアや端末メーカーはこれまで、携帯電話でのテレビ電話が普及しないのは、価格の高さマーケティングサポートの欠如が原因だとしてきました。が、ノキアのある役員は、「そもそも顔に電話を向けて話すこと自体が変な感じがするし、気持ちの良いものでない」と言っています。

アップルは、こうした問題に答えを出さなくてはいけません。彼らは特に、ヒューマンフレンドリーなソフトウェア作りやデザインが関わる分野で、他社が失敗したものでも成功することで知られています。でも、アップルがやろうとしているのは、携帯電話ベースのビデオチャット、だけではないのではないでしょうか。

ビデオチャットは入り口に過ぎない

Macでは、ビデオチャットはiChatの一部に過ぎません。テキストメッセージやボイスチャットも可能です。さらにはスクリーン共有や他の機能もあります。iPhoneにiChatが移植されるなら、こうした機能もフルに使えるようになるのではないでしょうか。

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もしiPhoneからデスクトップ上のバディリストを呼び出し、ビデオチャットができるなら、テキストチャットも可能になるでしょう。さらに、音声通話も可能なはずです。さらに、バディリスト上の誰にでも、相手の端末がデスクトップでもiPadや携帯電話でも、音声通話ができるとしたら、従来の電話を使うことはなくなってしまうのではないでしょうか。

想像がふくらむばかりですが、アップルはサードパーティがこうしたことを実現できるような下地作りはしています。アップル自身がモバイルiChatアプリをiPhoneに搭載してもまったくおかしくない状況が整っています。

アップルがやらなければSkypeがやる

iPhone OS 4のプレビューイベントで、アップルは別のアプリを使いながらSkypeで通話を受信できることを見せ、つまりVoIPもバックグラウンドで動作できることを示しました。iPhoneでできるということは、iPadでも可能でしょう。これは、SkypeがiPhone上でのAT&Tの通話を不要にしようとしているだけでなく、アップル公認の上で、より早期に、頻繁にプロモーションしているとも言えます。

AT&Tも、3G上でのVoIPをすでに許可しています。もちろんSkype自体も3G対応版を準備中です。現時点のSkypeを3Gで使うにはFringが必要ですが、新しいSkypeのiPhoneアプリは単体で3G、Wi-Fiどちらでも使え、しかもバックグランドでも動作するということになります。

アップルは、Skypeがフロントカメラを使うのを許可するでしょうか?予想ですが、フロントカメラはiChatにしか使わせないか、全デベロッパーに対し無償公開されるかどちらかになるでしょう。よほどのメリットがなければ、もうひとつカメラを付けるなんてことまではしないでしょう。

iChatは、Mac上でも完ぺきなアプリとは言えないかもしれません。だから、iPhoneに向けても大したことはできない、と考えることもできます。でも、アップルと他のデベロッパー(SkypeやFringに限らず、AdiumTrillianMeeboといった他のIMデベロッパーも)の間に健全な競争関係があれば、、今後早い段階で新たな選択肢がいくつも生まれてくるのではないでしょうか?音声通話やSMSが有料なのはおかしい、と書きましたが、きっと近々同じ考え方から、iPhone用iChatが発表されるのではないでしょうか。

Wilson Rothman(原文/miho)