クーポンを使うと料理の量が減る!?
あの炎上ニュースの真相を探る！

3月某日、私はリクルートから呼び出されていた。詳しい話は聞いていないが、とりあえず来て欲しいという依頼だった。

高いビル、厳重な警備、やはり大きな会社には独特の緊張感があった。会議室に通された私を待っていたのは、飲食店のクーポンを発行する「ホットペッパー グルメ」のプロデューサーだった。

頼んだのは「刺身3点盛り合わせ」「若鶏の唐揚げ」「もりそば」の3品。ここの蕎麦は、実際にお店で粉を挽いて打っているらしい。

運ばれて来た3品をお店の方にバレないように、スケールで計った。これを基準に、明日クーポンを見せた時の重さと比べる。楽な仕事が来たな、とウキウキである。もちろんビールも頼み、リクルート宛で領収書をもらった。

2日目です！

翌日。いよいよ検証結果の出る2日目である。私はホットペッパー グルメの人ではないので、結果がどちらでも関係ない。気楽すぎて、カメラマンとの待ち合わせに2時間も遅刻している。でも、悪びれない。こういうのは悪びれたら負けなのだ。

運ばれて来た3品は、何から何まで昨日と同じだった。料理を使い回したのかと誤解されかねないほどに同じだった。ただ、念のため、スケールで重さを調べる。

もちろん数グラムの差はある。昨日より少ないものもあれば、多いものもある。それは、蕎麦の盛りが数本単位で違ったり、人間の体重が朝と夜で変わったり、私が撮影に遅刻したりしなかったりするのと同じ、森羅万象に存在する誤差の範囲だ。つまり、あの炎上ニュースはどうやら真実ではなかったということだ。

女性が来ました！

めでたし、めでたし、と思った時に、私の隣にネットで見たことのある女性が座った。すぐにスマホで調べたら、胸元がけしからんほど開いた「例のタートルネック」でおなじみの「みゃこ」さんという方だった。

私のカワイさはともかく、検証も無事終わり、後は食べるだけとなった。隣にはみゃこさんが座っていて、私と一緒のものを頼んでいる。もしや気が合うのではないだろうか。この後、もしかすると、もしかするかもしれない。

みゃこさんは私と同じものを注文したのに、私よりも量がはるかに多い。メガネをはずしても分かるほど、何もかもが違うのだ。

これでは、今回の検証が無意味なものになってしまう。せっかく、クーポンの有無で量は変わらないことがわかったのに、この別次元の量の多さはなんだ！　これはどう見ても誤差ではない！

カメラマンがこっそり撮ったという、私がオーダーした時とみゃこさんの時と、それぞれの厨房の写真を見せてくれた。

ご覧のとおり、私の時はローテンションである。しかし、みゃこさんの時はサッカー日本代表が勝った時の渋谷スクランブル交差点のようなハイテンション！　この違いはなんだ！　量も違えば、店員のテンションまでもが違うではないか！

クーポンで量が減るとか増えるとか、そもそもそういう問題ではなく、客が男性か女性かで量が変わるってことか！　 うぉぉぉい！

これまた炎上しそうな結果になったが、私はホットペッパー グルメの人ではないので、別に関係ない。知ったこっちゃない。めでたし、めでたし！