①、「暗」とか「闇」に「音」という字が出てくるのは
「暗いから音を頼りに手探りにする」からではありません。
それなら「音」は頼りになる存在ですが、
実は「音」そのものが、「あいまいなではっきりしない」ことを表す文字なのです。
②、まず「音」という字について考えます。
「言」という字があります。
この下の「口」の中に「・」が入って「日」になったのが「音」です。
口の中に何かが入ってしまって、何を言っているのかわからないのが「音」です。
「言」⇔「音」の関係は
「明」⇔「暗」の関係に相応します。
「はっきりする」⇔「はっきりしない」ということです。
③、「明」の字はご存じのように太陽(日)と月が一緒で明るいのです。
「暗」の字は「日」があっても「音(はっきりしない)」から暗いのです。
2つ上の回答者が「日陰」と書いておられるのはその意味です。
この「暗」はまだ、光(日)がある状態ですね。
「暗」とははっきりしないけれども、ぼんやりとは見える状態なのです。
単なる明るさではなく、「暗愚」とか「暗算」はこうした「はっきりしない」という意味で使われています。
④、これをさらに暗くしたのが「闇」です。
この「門」は「門を閉める」ということを示しています。
「暗」では「ぼんやり」見えたものが、「門」を閉めたことで「闇」になってしまいます。
「闇」とは、「音(はっきりしない)」ものを「門」の中に閉じ込めることによって
まったく見えなくなってしまった状態なのです。
⑤、「暗闇」は「闇」という状態を「暗」という語で強調しています。
双方とも「暗い」のですが、程度には差があります。
しかし、双方に「音」があるのは、それが頼りになる存在だからではなくて、
反対に「音」そのものが「はっきりしない」ことを表しているからです。