ウェブサイト、モバイルアプリといった、デジタル系クリエイティブや、手芸・工作などのアナログアートなどなど。一度やってみたいけれど「経験ないし、スキルないし、そもそも才能ないし」と、始める前からあきらめてしまっていることはありませんか? こちらでは、新しい挑戦に一歩踏み出すためのちょっとしたコツについて、採り上げてみたいと思います。

何か新しいことにトライしようとするとき、「何から始めていいのかわからない」と戸惑うことも多いですね。しかし、参考書やハウツー本を読んだところで、自分にとっての「はじめの一歩」は、結局、よくわからないものです。

では、どうすればよいのでしょう?

 それはスバリ、はじめてみることです。たとえば、ウェブサイトを作りたいと思ったら、まずは、アイデアを描きだしてみましょう。サイトのレイアウトやフォームのボックスなどを、どんどん図にしていくのです。HTMLやCSS、Ruby、PHP、SQLといった専門スキルを学ぶのは、その後でOK。実際、どんなスキルが必要なのかは、よくわからないもの。だからこそ、まずは、できることから始めるのです。

実は、あなたの「はじめの一歩」を阻んでいるのは、スキルや経験の不足ではなく、自己批判の気持ちかもしれません。『The New Drawing on the Right Side of the Brain』の著者Betty Edwards氏によると、子供から思春期になると、絵を描くスキルの向上がストップしてしまうとか。これは、複雑な認知ができるようになるにつれ、それを描き表すためのスキルとの間にギャップが生まれ、うまく描けない自分を批判する気持ちが強くなってくるからだそうです。

この傾向は、大人になっても続きます。たとえば、ウェブサイトを自分で作りたいと考えたとして、インターネットで数々の構築例を見ることができても、成功事例と自分を比べ「自分にはやる資格がない」と思い込んでしまう、といった具合。しかし、冷静に考えてみましょう。どんな人も、スキルや能力を最初から備えてポンと生まれたわけではなく、はじめの一歩を踏み出さなければ、いまの彼らはないはずです。

世界的な画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホは、この観点で、よきお手本。数々の名画を後世に残した彼は、実は27歳から絵画を始めたそう。しかも、当初は特段スキルに長けていたわけでもなかったといわれています。冒頭の2つの絵を見比べてみましょう。左側は絵画を始めた頃の絵で、右側はその2年後のものです。もし、ゴッホが当時すでに活躍していた、ポール・ゴーギャンと自分を比べて「自分はダメだ」とハナからあきらめてしまっていたら「ひまわり」はこの世に生まれなかったかもしれません。

苦手意識やコンプレックスといった、自分のネガティブな感情とうまく付き合いながら、まずはやってみることがポイントのようですね。芸術の秋、アナタも何か新しいことに一歩踏み出してみてはいかが?

The first step is to start [Signal vs. Noise]

Kevin Purdy(原文/訳:松岡由希子)