コンピュータのパフォーマンスを改善させるには、従来のハードドライブをソリッドステートドライブ(SSD)にアップグレードするのが有力手段。ハードドライブはパフォーマンスのボトルネックになりがちですが、SSDはデータの読み取りが速いので、起動時間やアプリの立ち上げが大幅に短縮できます。
そこで、こちらでは、SSD特有の性能や仕組みを踏まえ、このメリットを最大限に活用するための基本的なポイントについて、まとめてみました。「これから、SSDを入れてみようかな~」と検討中の方はもちろん、すでに導入済みの方も、ぜひ参考にしてくださいね。
1: SSDと磁気ディスクを使い分ける王道の戦略としては、SSDをシステムファイルとアプリケーションのためにだけに使うのがよい。こうすれば、起動時間やアプリケーションの立ち上げ時間を短縮でき、ドライブの容量が、すぐにいっぱいになってしまうのを防げる。SSDは比較的高価なので、容量の大きなものを買うよりは、システムファイルやアプリが保存できる、程度の小さめの容量のものを購入し、音楽や動画・ドキュメントファイルなどは、通常の磁気ディスクに保存すると効率的。
ファイルの保存場所を自動的に変えるには、ユーザフォルダの場所を修正すればよい。「Windows 7のユーザディレクトリの移動法」、「Windows XPでのフォルダ整理のコツ」、 「Mac OS XにおけるSSDのインストールの仕方」など、米Lifehacker記事(英語)を参考にしてみよう。また、Linuxディストリビューションは様々だが、Ubuntuの場合、「System> Administration>Users and Groups」に移動し、「Advanced Settings」でホームディレクトリを、磁気ディスクドライブのフォルダに変更すればOK。 デスクトップユーザは、SSDと磁気ディスクの、2つのドライブを使い分けよう。一方、ラップトップユーザは、2つのドライブを設置するには、ラップトップPCを改造しなければならない場合もあるので、これをやりたくないという人もいるだろう。ネットブックに至っては、できない...。
2: Windows7を使うWindows 7には、 Trimコマンドやデフラグ・スーパーフェッチの無効化など、SSDに役立つ機能が多い。XP/Vistaユーザは、Windows 7へのアップグレードを勧める。XPユーザ(もしくは、クリーンインストールなしに、XPからVistaにアップグレードした場合)は、Windowsをクリーンインストールしよう。こうすれば、パーティションアライメントが修正され、パフォーマンスがグッと上がるはず。
どうしても、XPを使い続けなければならない場合は、クリーンインストールし、かつ、パーティションを手動で修正する必要がある。これは、SSDを使う上でもっとも重要なパフォーマンス改善策のひとつ。アライメントの問題で、ドライブの速度が遅くなることがあるからだ。詳しくは、OCZ Forumのこちらのガイド(英文)を参照のこと。また、VistaやWindows 7のインストールディスクから、diskpartコマンドを走らせることができるのも、覚えておこう。もちろん、これらの作業をする前に、すべてのデータをバックアップしておき、Windowsを再インストールした後、復元すること。
3: 「スリープ」ではなく「ハイバネーション」を使うハイバネーション(休止状態)は、ラップトップPCでバッテリー寿命を節約するときに特に便利。スリープモードではRAMの状態を保存するが、ハイバネーションにすればハードドライブの状態を保存できるので、電力の使用をより小さくすることができる。ハイバネーションにすると、通常、バックアップの開始に少し時間がかかるのが難だが、SSDが導入されていれば、速く立ち上がるので、この問題もたいしたものではない。
Windowsでハイバネーションを使うには、カスタマイズが必要。まずは、adminでコマンドプロンプトを開き、「powercfg /hibernate on」と入力しよう。さらにスタートメニューを開き、「power options」と入力してEnterキーを押す。電源オプションにある「Change when the computer sleeps(スリープ時の変更)」のリンクをクリックすると、「詳細な電源設定の詳細設定」が現れる。このとき、「スリープ」にある「ハイブリッドスリープを許可する」の項目をオフしておけば、スタートメニューから「休止状態(ハイバネーション)」をマニュアルで選ぶことができる。一方、Macの場合は、スリープとハイバネーションのプレファレンスをカスタマイズする際、『SmartSleep』のようなアプリが必要。
この記事のコツを使えば、ハイバネーションファイルのためのスペースは確保できるはずだが、SSDのスペースが少なくなってきたら、ハイバネーションをオフにしたほうがいい。ハイバネーションを完全に無効にするには、コマンド「powercfg /hibernate off」(「on」を「off」に変える)を走らせればよい。
その4: ディスクデフラグを無効にする(XP/Vistaのみ)磁気ディスクでは、デフラグによってドライブが整理され、パフォーマンスが向上する。しかし、SSDの場合、データがどこにあろうと、アクセス速度は同じなので、データの整理や再配置をしても意味がない。よって、SSDにはデフラグは不要だし、むしろ無効化したほうがパフォーマンスは上がる。
このやり方は、まずスタートメニューに移動し、コンピュータのアイコンを右クリックして、「管理(Manage)」を選択し、「コンピュータの管理(Computer Management)」を開く。「サービスとアプリケーション(Services and Applications)」>「サービス(Services)」の「Disk Defragmenter」を右クリックし、「プロパティ(Properties)」を選択。「スタートアップの種類」でプルダウンから「無効」を選び、OKをクリックすれば変更完了。
ただし、Windows 7はこのような操作は不要。SSDを使っているとき、デフラグは自動的にオフになる。
5: インデックスを無効にするインデックスを使えば、通常、検索速度が速くなるが、SSDはアクセスタイムが小さいので、インデックスがなくても速く動く。
インデックスを無効にするには、マイコンピュータでSSDを右クリックし、「プロパティ」を選択。「Allow Indexing Service to index this disk for fast file searching(ファイル検索の高速化のため、このディスクをインデックスするサービスを認める)」の項目のチェックを外す。
属性インデックスを無効にするには、スタートメニューに移動し、コンピュータのアイコンを右クリックして、「管理(Manage)」を選択。「コンピュータの管理(Computer Management)」を開いて、「サービスとアプリケーション(Services and Applications)」>「サービス(Services)」の「Windows Search」を右クリックし、「プロパティ(Properties)」の画面を表示させる。「スタートアップの種類」の項目で「無効」を選び、OKをクリックして設定完了。
このようにインデックスを無効にすると、SSDと磁気ディスクを使い分けずに、すべてのデータをSSDに保存する際に、とても便利。SSDのみ導入する場合は、インデックスの無効化をお勧めする。
おまけ: 本当は必要ないSSDにまつわるコツWindows 7では、SSDを使っているとき、スーパーフェッチが自動でオフになるが、最近のSSDは十分な寿命があるので、実際はこの自動変更機能は、さほど重要ではない。Vistaユーザの中には、スーパーフェッチを無効化しようとする人もいるかもしれないが、パフォーマンスが落ちることはない、といった効果くらいしかないので、あえて、ここでは触れていない(ただし、やってみたい人は、米Lifehackerテック系ライターThe How-To Geekのこちらの英文ガイドをどうぞ)。
同様に、ライトキャッシュやページファイルの無効化も、SSDを使う上でのコツとして挙げられるが、メリットよりもデメリットのほうが多いかもしれない。
ただし、SSDのみ導入する場合は、ページファイルの大きさを調整すれば、ドライブの容量の節約につながるだろう。やり方は、スタートメニューからコンピュータを右クリックし「プロパティ」へ。左側にある「システムの詳細設定」のリンクから「詳細設定」画面で「パフォーマンス」の「詳細設定」タブに移動し、「仮想メモリ」の「変更」ボタンをクリック。「すべてのドライブのページングファイルのサイズを自動的に管理する」のチェックを外して、カスタムサイズをスペースに合わせて設定しよう。
このほか、ハードディスクにまつわるまとめ記事としては、ライフハッカーアーカイブ記事「ハード ディスクとの上手な付き合い方10選!」もあわせてどうぞ。また、SSDを入れる以前のステップとして、今のハードディスクの状態をチェックするには、『Disc Space Fan』や『SpaceSniffer』、『FolderSize』などの、ハードウェア解析アプリも活用してみてくださいね。
Whitson Gordon(原文/訳:松岡由希子)