暗い場所で写真をうまく撮るのは、とても難しい。経験したことのある人ならわかるだろう。
ブレたり、ほとんど真っ黒だったりして……。そこで、最近は手ブレ補正や超高感度撮影といった機能を搭載したデジカメが増えているわけだが、それらよりも暗い場所の撮影がとてつもなく得意なアイテムがあるという。果たしてどんなものだろうか。

それは、『アストロスコープ・ナイトビジョン』(米エレクトロフィジクス社製、国内販売・駒村商会)と言う製品で、月明かりや星明かりでのシーンでも、明るく解像度の高い画像を簡単に撮影できるそうだ。カメラ本体とレンズの間に装着して使用する。

一般的な撮影方法としては、ISO感度800以上、シャッタースピード1/30秒、絞り開放、ストロボ・各種カスタムセッティングをオフにする。
また、ピント合わせはマニュアルに設定。
すると、僅かな光でもグリーン単色の画像を写し出す(カラーでないのが残念)。

どうして、ほぼ暗闇の中で撮影が可能なのか。
「まず、撮影レンズを通った僅かな光がアストロスコープ内部の蛍光増倍管に送られ、光量子を電子に変換します。そこで変換された電子を増幅。そして、増幅された電子が光電陰極にぶつかると、明るいグリーンの画像が形成されるのです」(駒村商会)
つまり、僅かな光を電気的に増幅して像を写し出すので、全くの暗闇では撮影できないわけだ。


こんな凄いアイテムを一体誰が使うのだろう。
「国内ではテレビ局、新聞社、出版社、官庁関係など。用途としては、夜行性動物の観察やドキュメンタリーなどでしょうか」(同)
やっぱり業務用か。そういえば、テレビ番組でグリーンの画像を見たことあるような。

ちなみに、価格は120万円! 米軍用第3世代の光増幅管を使用しているため、ユーザーは米国サイドでライセンスを取得できる法人が対象。我々のような個人ユーザーには手が届かない製品だ。
将来、テレビ局や新聞社でカメラマンをやりたいと思っている人は使うことがあるかも。

実は、このような業務用だけでなく、超高感度撮影ができる一般モデルもある。たとえば、常用ISO感度1万2800(10万2400まで増感可能)の一眼レフカメラ『D3S』(ニコン製、実勢価格55万円前後)が一般に販売されている。また、以前コネタ「デジカメの得意な被写体ってなに?」で取り上げたコンパクトデジカメ『DSC-WX1』(ソニー製)も暗い場所での撮影に強い。

暗い場所で明るい写真が誰でも簡単に撮れる時代が、すぐそこまで来ているといえそうだ。
(羽石竜示)