ローマ字に2種類あるのがご存知ですね?
1つは小学校で習う訓令式。
もう1つは英語と混ぜて使われるヘボン式。
どちらも本来の日本語表記を習うのが大変な外国人のために、比較的多くの国民に身近であるアルファベットを用いて日本語の発音の近似値を補助的に表すものです。
訓令式は実にすぐれており、所詮アルファベットは日本語の発音を正確に表せないという限界を積極的に認める姿勢があり、それならなまじアルファベットにたよって英語読みされ不正確な日本語になるよりも、文法体系などを規則的に書き表せるシンプルなシステムを、ということで制定されました。
私は日本語を教えていますが、文法説明(特に動詞の変化)などは常に訓令式を使います。siと書いても実際の発音は「し」だと、もちろん説明しますよ。
さて、Ohですが、ヘボン式では、日本語発音についてまったく予備知識がない人でも、そこそこ近い音が出せるようにとの考えから、英語的なスペルを一部混入させて使用しています。
OUはと書くのは「平仮名の置き換え」ではあっても日本語の発音からは遠いものになってしまいます。事実、訓令式でさえOUとは書きません。
「追う、負う」は、OUですけどね。
日本語で「おう」、「おお」2種類の表記で「お」の長音を示しますが、「おお」は大和言葉(もともと日本語)の場合、「おう」は漢語由来の場合に用いられます。しかしどちらも実際の発音は「おー」です。だからOUと書いて、「おう(「追う」みたいに)」と読まれても困るし、英語的に「アウ」と読まれたらもっと困るわけです。
そんな理由からヘボン式では一部に英語的発音を連想させるスペルが併用されているのです。