尖閣沖衝突、中国に巡視船修理代請求も 官房長官
関係改善へ対応要請
仙谷由人官房長官は27日午前の記者会見で、沖縄県の尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁巡視船との衝突事件で、日本政府が中国漁船の船長を釈放したことを巡り、「現時点ではボールは中国にある」と述べ、中国側に両国関係の改善に向けた前向きな対応を求めた。衝突で破損した海保巡視船の原状回復費用については、今後、外交ルートで中国側に請求する考えを示した。
菅直人首相は同日昼、首相官邸で仙谷長官、前原誠司外相、民主党の岡田克也幹事長、鉢呂吉雄国会対策委員長らと、中国との今後の交渉や10月1日に召集される臨時国会の対応を協議した。
長官は記者会見で、中国人船長の釈放について「結果として検察当局の判断によってのどに刺さったトゲは抜けた」との認識を示した。中国側がその後も謝罪と賠償を繰り返し求めていることに対しては「中国は中国として(中国人船長の)身柄釈放という決着がついた段階でお考えいただくことが多々ある」と不快感を示した。
衝突事件で損傷を受けた海保巡視船については「当然、原状回復を請求することになる」と強調。今後、尖閣諸島沖で同様の事案が起きた場合の対応について「1997年に中国と協定がなされている。これに基づいて両国の漁民の漁業の仕方について再確認することが行わなければならない」と指摘し、再発防止策を巡る日中協議に取り組む考えを示した。中断している閣僚級交流の再開にも期待を表明した。
一連の政府の対応に関し、自民党の谷垣禎一総裁は27日午前の党の会合で、「我々がアジアで安定して平和に暮らしていける基礎的条件が何か、にきちんとした認識がないことが問題を生んでいる」と批判した。そのうえで「こういった政権を一刻も早く追い詰めていかなければならない」と強調した。