いくら情報をすべて Evernote にいれておくにしても、それを思い出せなくては意味がありません。前回紹介した属性情報による絞り込みや、最近少しずつ動作し始めている画像検索は、すべてこうした「情報の取り出し」を支援するための機能です。
» 「あれだよ、あれ。ああ思い出せない」という時に利用できる Evernote の属性絞り込み機能
しかし普段から意識的に整備しておくことで格段に情報を取り出すスピードを上げることができる機能が「保存された検索」の機能です。
Evernote で検索を実行すると、そのたびにクライアントの上では「保存」というアイコンが表示されます。ここでこのボタンをクリックするとその時点での検索条件を名前をつけて保存することができますので、繰り返し利用する検索をクリック一つで呼び出せます。
しかし実際には繰り返して行う検索というものはそれほどありませんので、なんとなくこの機能を使っていない人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は誰でも用意しておくことで情報検索に近道を用意できる「保存された検索」の使い方についてまとめておきます。
検索の「てこ」のために保存された検索をつかう
保存された検索のよいところは、考えるのが面倒な部分を先に登録しておくことで近道を用意できるという点です。英語だと、Heavylifting という言葉が当たるでしょうか。面倒な作業の一番面倒な部分を任せられる、それが「保存された検索」の利点です。
たとえば「ここ1-2週間以内に iPhone から登録した画像付きのノートだけを表示」という検索を行いたいとします。もちろん「画像付き」という部分は属性絞り込みなどでおこなうのですが、「1-2週間以内」という部分が面倒ですよね。
そこで、「1週間以内」「1-2週間以内」「2-4週間以内」という保存された検索をあらかじめ作っておいたらどうなるでしょうか? すると、次からはこの保存された検索を「条件1」としてまず呼び出し、それに対して「画像付き」「iPhone から」という属性絞り込みを「条件2」としてかぶせていけばよいのです。
それでは具体的に、4つの最も利用価値の高い検索条件を例にみてみましょう。
検索1:タグがついていないノート
Evernote で探すのが一番面倒なノートは、タグがなく、デフォルトのノートブックのなかで迷子になっているノートです。こうしたノートは「検索ワードがわからない」から探せないのではなくて、「検索ワードの不在」が探しにくくしています。
こうしたノートだけから検索を行うためには、「すべてのタグがない」という条件「-tag:*」あるいは、特定のタグが存在しないという条件「-tag:タグ」という条件をあらかじめ保存された検索に用意しておくと便利です。
こうすることで、「タグがついていないノート(条件1)」から「○○というキーワードが存在するノート(条件2)」を探すという検索の前提条件を作っているわけです。
過去一週間以内に追加した
人の記憶は時系列方向にはかなり正確ですので、時間の範囲を指定した検索はいくつか作っておくと便利です。
たとえば「1週間以上前で2週間以内」「2週間以上前4週間以内」「1ヶ月以上前2ヶ月以内」といった、「かゆいところに手が届く」時間範囲の検索をあらかじめ作っておくことで、かなり複雑な検索の前提条件を1クリックで呼び出せます。
未完了の todo を集める
Evernote をタスク管理システムにつかう Egretlist のような iPhone アプリもありますが、もっと単純に「このノートはあとでみたい」「このノートにはやりかけの作業が残っている」といった程度の引っかかりを作るのに ToDo アイテムは便利です。
このToDo をすべて集めてくるだけなら属性絞り込みでもできますが、「チェックの入った todo が存在し、チェックの入っていない todo がないノート」=「やり残しがないノート」といった複雑な条件はやはり保存された検索に入れておく方がよいでしょう。
GTD の週次レビューに使っている人は「1週間以内に作成されて未完了のtodo」といった条件を保存しておけば、やり残しのタスクをすぐに集められます。
特定の交点
最後は、よく利用する特定の情報交点を保存しておくという例です。
たとえば私は研究で利用するプログラムのスニペットをすべて Evernote に入れてありますので「ノートブックが『研究』で、タグが『スニペット』」という条件までを保存された検索にいれておけば、この前提条件を呼び出してからさらに絞り込みをかけることで検索が格段に速くなります。
こうした交点は「ノートブックとタグの交点」「時間とタグの交点」「内容(画像・テキスト)とタイトルの交点」などいろいろ考えることが出来ます。
まとめ
Evernote の検索は非常に便利ですが、Google のようなキーワード検索に頼っているだけではなかなか近道を生み出すことができません。保存された検索を先に 5, 6 個用意しておくだけでも、こうした情報にアクセスするのがずいぶん楽になりますので、ぜひ利用してみてください!
今週の本
中谷健一さんの『「どこでもオフィス」仕事術』を献本でいただきました! ノマドワーキングというと、ちょっと机上の理論ばかりが先行していて「実際のところそんなにノマドな人なんていないでしょう?」「ノマドのどこがいいの?」という地に足のついた本がこれまでなかった気がしますが、本書はまさにそのスイートスポットを狙っています。
実際外で仕事をする際のカフェの選び方から電源の探し方、トイレで席を立つときのセキュリティに至るまで紹介してあるとともに、クラウドを駆使したモバイルオフィス術についても詳細に書かれていますので一読の価値ありです。
本書を読んだらレゴブロックを買いたくなるはず…。その理由は? ぜひ書店でご覧ください。
6月23日に、世界同時多発 Evernote Meetup が企画されています。日本だと東京と大阪と那覇でイベントが立ち上がっているようですが、那覇ピンチなので沖縄のかたぜひご支援のほどを!
ん? 東京のオーガナイザーって…
▼堀 E. 正岳:
Evernoteエバンジェリスト。「Evernoteハンドブック」の執筆や「Evernote日本語掲示板」のモデレータを通して、愛してやまないEvernoteの育て方を伝道中。Lifehacking.jp主宰。