【東京ゲームショウ2010】国内キープレイヤーが語るAndroidのコンテンツ戦略

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ソニー・エリクソン Developer Program architectのKarl Johan Dahlstrom氏

2010年9月16日から19日にかけて開催中の『東京ゲームショウ2010』。16日の『モバイルコーナー』内『Androidコーナー』のブースでは、ソニー・エリクソン、NTTドコモ、KDDIの3社によるプレゼンテーションのステージイベントを開催、各社のAndroidコンテンツ戦略が語られました。

・開発者を支援するソニー・エリクソン
NTTドコモ向けにAndroidスマートフォン『Xperia』を提供するソニー・エリクソンは、「“Xpera×ゲーム”で創る新しいユーザー体験」と題したセッションで、同社のDeveloper Program architectのKarl Johan Dahlstrom氏が登壇しました。エンターテインメント用途を重視している『Xperia』について、同社はコンテンツの質を重視しているとのこと。

同社はコンテンツの開発者コミュニティ『Developer World』を運営。『Xperia』向けの開発ツールの提供と開発者のサポート、同社が運営する『PlayNow』からの配信と、一貫してアプリ開発者を支援していることにも触れ、Java、3Dゲーム、OpenGL-ES 2.0への対応と進化してきた携帯ゲームの分野で、今後はHD画質のAndroidゲームに注目していると語りました。

・Androidマーケットを補完する『ドコモマーケット』

NTTドコモ スマートフォン事業推進室アプリケーション企画担当主査 蜷川智之氏

NTTドコモは「ドコモマーケット・コンテンツの動向」と題したセッションで、同社スマートフォン事業推進室アプリケーション企画担当主査 蜷川智之氏が登壇。同氏はGoogleが運営する現行のAndroidマーケットについて(1)面白いアプリが埋もれる(2)ウェブコンテンツを提供する場がない(3)ユーザーが探したいアプリを見つけられない、の3点に問題があると指摘。日本ユーザーに満足してもらうためにアプリマーケット『ドコモマーケット』でAndroidマーケットを補完していくと語りました。また、9月から提供を開始した『spモード』によるキャリア決済の導入により、コンテンツの質の向上に期待しています。

2010年4月1日のオープン時に100個あったコンテンツは、9月3日の時点では330個に増加。年末までには700個に増やしていく目標とのこと。『ドコモマーケット』で積極的に紹介していくコンテンツとしては、『Twitter』など外部アプリと連携するコンテンツ、『Googleマップ』や『Googleカレンダー』などGoogleのサービスと連携するコンテンツ、ボイスレコーダーやスケジューラー、目覚ましなど端末の機能をカスタマイズできるコンテンツ、大画面や高解像度な液晶、カメラなど端末スペックを表現しやすいコンテンツを挙げ、代表例として日本テレビの『美女地図』、エムティーアイの『music.jp』、インデックスの『サマーウォーズ花札KOIKOI』、カヤックの『起こしてこえ部』を紹介していました。

・後発ながら意欲的なauの取り組み

KDDI コンシューマ事業本部 サービス・プロダクト企画本部 プロダクト企画部 オープンプラットフォーム企画Gの畑瀬泰博氏

KDDIは「KDDIのAndroidへの取り組みについて」と題したセッションで、同社コンシューマ事業本部 サービス・プロダクト企画本部 プロダクト企画部 オープンプラットフォーム企画Gの畑瀬泰博氏が登壇。Androidマーケットについては(1)種類が多くてアプリが探せない(2)通貨の種類が多く価格が分からない(3)ほとんどが英語表記(4)決済にクレジットカードが必要、という点を問題として指摘しました。同社が運営するアプリマーケット『au one Market』は、キャリア決済、ランキングや記事、リコメンドなど多様な切り口によるアプリの紹介、事前の検証を経た安全なアプリの提供により、これらの問題を補完し、従来の携帯電話と同等のアプリ購入体験を提供しているとします。

同社は事実、従来の携帯電話アプリで運用していたキャリア決済『auかんたん決済』をAndroidアプリにも拡張し、KDDIによる審査を通したおすすめアプリを、Androidマーケット内に追加した『auタブ』で紹介するなど、Android参入では後発ながらユーザーが安心してアプリを購入できる環境をドコモに先行して整備してきました。

コンテンツについても力を入れている例として、6月に『IS01』向けとしてAndroid版をリリースした『セカイカメラ』を挙げました。8月にはKDDIと『セカイカメラ』を開発した頓知ドットに出資して資本提携を結び、今後は『セカイカメラ』をベースにKDDIの課金プラットフォームを利用するゲームを配信したり、『セカイカメラ』上での広告ビジネスを展開するなどの計画があると語りました。

成長性を見込める企業との協業体制を強化する取り組みでは、このように資本提携も視野に入れて検討しているとのこと。具体的には、スマートフォン向けミドルウェアやアプリの開発会社、AR(拡張現実)やCGM(Consuer Generated Media)などで新技術を持つ企業、新市場を創出する企業をパートナーとして求めているそうです。

3社によるプレゼンテーションがありましたが、面白かったのはNTTドコモのセッションでの質疑応答。タブレット端末への対応について尋ねられ、同社は明言を避けましたが7端末の発表が予定されている冬モデル以降、「いろいろな端末ラインアップをそろえて対応したい」とコメント。タブレット端末の投入と『ドコモマーケット』の対応について含みを持たせました。電子書籍アプリやFlashへの対応についての質問に対して、電子書籍は大日本印刷との協業で近々発表があること、Flashについては「必要不可欠な技術と認識しており、検討は始めている。遠くない時期に案内できると思う」とコメントしています。

『Androidコーナー』では同じプレゼンテーションがビジネスデーの17日にも予定されているほか、一般公開日の18日と19日には、Androidアプリの開発者によるプレゼンテーションのコーナーも予定されている模様。Androidの最新事情や開発者の声を聞くよい機会となりそうです。

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宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

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