年金「らしい」資産運用を (かまた) | 鎌倉投信 結いブログ

年金「らしい」資産運用を (かまた)

年金に関する専門誌「年金情報 2010.3.15号」のOther Viewでとても共感できる記事がありました。


ある電力会社の企業年金の運用責任者のコメント。


私も10年以上にわたってこの企業年金を見てきましたが、おそらく日本で最も先に年金の受託者責任とは何かを経営が理解し実践した先であり、運用についても熟慮され、決してぶれることがない稀有な存在でした。


コラム ~年金「らしい」資産運用を~ の中で特に共感する部分です。


○ 今の年金運用は、市場環境や会計問題という困難さから、目先のリターンだけに拘る手法に走ったり、下振れリスクを過度に恐れた運用になり、結果、社会形成に寄与しない運用になっている。


○ 伝統資産(株式や債券)の運用では、資金が実体経済に行き渡り経済成長の糧になる反面、ヘッジファンド(たとえば、マーケットニュートラルや債券レラティブ・バリュー)等は全体への影響は相殺される。目先のリターンを追求するだけで経済全体への成長への貢献はなく、ゼロサムの手法だ。


○ 経済成長に寄与する投資を心がければ、廻り回って全体のリターン向上につながるし、それなくして長期にわたる年金運用の成功はない。


そのとおり通りだと思います。


120兆円の運用資産を持つ国民の年金も含めて、市場の混乱、会計制度、年金制度の呪縛から逃れることができず本来あるべき投資の姿から程遠いものになっています。


今までの経済成長の枠組みが硬直化して閉塞感のある日本において、新たな社会を創造する企業や産業を長期的な視点で発展成長させることなくして資産形成はあり得ません。そのための金融的なエンジンとしては、本来年金が最も適しているのです。


社会創造のない資産形成はもはやない。そのことを年金運用者は考えて欲しいと思う。中でも、最も考えるべきは国民の年金資産の運用だと思っています。