いまの被災地の姿

2011年4月16日(土) 20:32:57

ボクも取材を受けたが、日本経済新聞の井上理さんの記事「届かぬ被災地の声、支援阻む『情報断絶』 〜震災1カ月で課題が露呈 16年前の教訓生かせず〜」がアップされている。

しっかりした視点と取材で「いまの被災地の姿」を浮き彫りにしている。

前回の彼の記事(ボクも出ている)と読み比べると、 ITの取り組みがわりと壁にぶちあたっていることがよくわかると思う。

ここでも書いたように、「助けあいジャパン」は、阪神大震災の被災者としての教訓から始まった。だが、予想以上に現地情報が入らず四苦八苦している。被災地は(あのときと同じように)情報断絶に晒され、避難所格差が起こっている。東北という地域性もあるが(超広域とかネット普及率が低いとか高齢者が多いとか)、結果的に阪神大震災の教訓を活かしきれていないことになる。ITができることの限界も露呈しているのも確か。

とはいえ、まったく諦めていないし、悲観もしていない。
やらないより全然マシだからだ。
ITが役に立てる部分は今もこれからもたくさんある。それを粛々とやっていくのみ。それがボクたちメンバーが出来ることだ。

今回の井上さんの記事の中で、ボクは「情報をこちらから取りに行くしかない。ほかのボランティア団体などと連携し、網の目のように現地に人を張り付ける体制を模索している。もう待っているわけにはいかない」とか言っている。

そのひとつのカタチとして、「助けあいジャパン リアル・ボランティア情報ステーション」が仙台駅に立ち上がっている(とりあえずGW終わりまでの設置)。

地元のボランティアの方々と組んで、実際に避難所を回って情報を取りに行く拠点である。仙台に来た個人ボランティアたちの窓口にもなる。
情報取得体制がGWに間に合うかどうかギリギリであるが、なんとか少しでも前に進みたいということで、仲間たちが走り回って設置に動いてくれた(田中さん藤代さんお疲れ様です)。河北新報や仙台の学生たち、そして地元ボランティアの方々の大変なご協力の下、なんとか一歩目を踏み出せた。

こうして、できることをひとつずつ増やしていく。
時々刻々変化していく被災地に、なんとか少しでも寄り添って、自分たちができることを、諦めず、悲観せず、粛々とやっていこうと思う。「助けあいジャパン」の仲間たち(発足時からいままでで200人を超えたらしい)も、みな同じ想いだと思う。

「助けあいジャパン」のサイトも、来週大きくリニューアル。
永遠のベータ版の試行錯誤は、まだまだ続くです。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

アーカイブ

同カテゴリーの他記事