誰にとっても、時間やパワーは有限なもの。だからこそ「何にどれだけ『資源』を振り分けるか?」という視点を持つことは、成果を最大化させるための重要なポイントです。そこでこちらでは、「捨てる」ことの重要性について考えてみたいと思います。
ウェブアプリ開発者のNick Cernis氏は、集中すべきことに適切に集中できるよう、不要なものを「捨てる」ことの重要性について、偉人の言葉を引用しながら、以下のように語っています。
ここ数年で、居心地のよいフルタイムの仕事を辞め、6つのウェブサイトを立ち上げ、うち2サイトは廃棄した。また、趣味ではアーチェリーを「厄介払い」し、折り紙に背をむけた。チェロをやめると告げたときの、チェロの先生からのこんな言葉を思い出す。
「イケイケのロックバンドをはじめるなんて、言わないでよ」。私はこの先生に、チェロに見切りをつけて、ギターに「鞍替え」したと話した。実際、チェロは難易度がグレード6くらいになると大変なので、才能のない人でも演奏できる楽器に変えたのだ。
私は常に移り気だ。新しい趣味を追求するために高価なものを買い、しばらくは使って、周りの人々を驚かさないようにしてきた。
米ラジオパーソナリティIra Glass氏は、このテーマに関し、こう証言しています。「やめる重要性については、十分に語られていない」と。彼は、以下の動画の中で、クリエイティブな成果を作り上げるプロセスについて述べている。彼の数々の偉業は、取り組みはじめたもののうち、半分以上を捨てているからこそ、存在するのだとか。
Seth Godin氏も、著書『The Dip: A Little Book That Teaches You When to Quit (and When to Stick)』の中で、やめどきを知ることのメリットについて、こう記している。
やめることは難しい。このためには、自分が世界でナンバーワンには決してなれないことを自覚することが必要だ。先送りにしてこのことを認めず、平凡に甘んじるのはカンタンだが、なんと無駄なことだろう。
趣味、ビジネス、人間関係から、ブログにいたるまで、捨てることは難しい。しかし、ときには捨てることこそ、自分にとって正しいことでもある。途中でやめることは必ずしも破壊ではなく、強力な創造的手段なのだ。
前述のIra Glass氏も、次のように提唱しています。
今こそやめるときであり、それを楽しむときである。こうすることで、よりよい人生をつくれる。
「せっかく始めたことだから、やり遂げたい」と思う気持ちは、悪いことではありませんが、時間とパワーを効率的かつ効果的に活用するためには、ときに「間引く」という発想も有効かもしれません。
このテーマを、仕事のプロジェクトという観点から考察した記事としては、ライフハッカーアーカイブ記事「進めるべきプロジェクトと撤退すべきプロジェクトの見極め方」や「多くプロジェクトを経験した人が告白、『プロジェクトを潔く失敗させることも、ときには必要だ』」などもありますよ。現在、「仕掛中」のプロジェクトや目標を、一度棚卸しし、不要なものは思い切って「捨てる」ということも必要かもしれませんね。
The Importance of Abandoning Crap [Modern Nerd]
Nick Cernis (原文/訳:松岡由希子)