総務省の利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会は2010年12月22日、「電気通信サービス利用者ワーキンググループ(WG)」の第4回会合を開催した。今回はブロードバンドサービス契約者獲得における「電話勧誘」および他のサービスや製品との「セット販売」について、消費生活センターなどへの相談が増えているという状況を踏まえて、TCA(電気通信事業者協会)およびNTT東日本、KDDIが現状説明を行った。さらに構成員からの質問に答えた。

「古い電話帳に掲載」と何度も同じ回答

 電話勧誘については、勧誘を行う代理店に関する質問が集中した。構成員からは「電話帳に掲載しておらず、ごく身内の人間しか把握していない番号に光回線の勧誘の電話がかかってくる。自宅にももちろんかかってくる。求めていない人を勧誘する不招請勧誘に関する基準はないのか」や「電話帳に載せていない番号に何度も電話勧誘があるので、どこで電話番号を知ったのか尋ねた。答えはいつも古い電話帳に掲載されていたためだというものだった。なんとか対処できないのか」といった質問があった。

 前者については、TCAが「徹底できていない部分もあるので、ルールを作り標準化して落とし込みたい」と説明した。後者の古い電話帳に関しては、NTT東日本は「古い電話帳は新しい電話帳を配布した段階で回収するよう努力している。回収できない場合もあり、やがてどこかにまぎれこんで違うところに行ってしまう場合もある」と述べた。

 代理店だと明確に名乗らないという指摘も複数あった。例えばある構成員からは「電話勧誘の際には代理店であることを明言させているとNTT東日本とKDDIから説明があったが、代理店部分を早口で言うなどの事例があると認識している」という指摘があった。それに対してNTT東日本は、「早口については代理店にハッキリ伝えるよう周知する」と回答した。別の構成員からは、「代理店の社員に聞くと、代理店と名乗らないよう指導されているということだった」という指摘もあった。

 取り組みの説明の中で、NTT東日本とKDDIともに、電話勧誘を止めてほしいと要望する顧客に対して、今後電話をかけないような施策を取っていると説明した。しかし構成員からは、「二度とかけないでほしいと言ったが、かかってきた」という指摘や、「ある代理店では電話勧誘禁止リストが事業者から来ているが、リストの掲載件数が多いために、担当者に自社リストと照合しなくていいと指導している」といった指摘があった。KDDIは「電話勧誘を禁止する顧客のデータベースは設けているが、どこまで順守できているのかというのがあるので、ご指摘を意識したい」と答えた。

販促費の使い方は量販店の裁量

 家電量販店などでブロードバンドサービスを勧誘する場合、映像配信サービスなど他のサービスと組み合わせたり、パソコンや無線LANルーターなどの接続機器と組み合わせたりするセット販売で提供される場合がある。家電量販店において白物家電の購入希望者に対して、ブロードバンドサービスを契約すると白物家電を安く購入できるという勧誘をしている場合もあるという。こうした白物家電とのセット販売に関する質問が相次いだ。

 ある構成員は、「ブロードバンドサービスの契約でなぜ白物家電が安く買えるのか。販売奨励金を白物家電の割引に使っていいからなのか」という質問があった。これに対してTCAは、「セット販売で白物家電が安い場合、ブロードバンドサービスの販売奨励金を使っていると思われる。ただし販売奨励金をどう使うかは代理店である家電量販店の裁量であり、電気通信事業者がコントロールできる範囲ではない。詳しくは家電量販店の担当者に話を聞く場を設けた方がいい」と回答した。

 この回答に対して別の構成員は、「代理店という名を使わせることを、あまりにも軽く考えている。代理店は民事法において代理人という扱いであり、本人が契約するのと同じ効果がある。代理店がブロードバンドサービス契約を顧客と結んだ場合は効力があるとしながら、セット販売した白物家電は代理店が売ったものであるので電気通信事業者には関係ないという態度は通らない」と指摘した。

 さらに、「セット販売が契約を取る上で便利なのは分かるが、便利さの弊害もあることを認識して、その弊害を丁寧に洗い出すべきではないのか」とした上で、この構成員はきめ細かい検討を要望した。