米医療保険、加入の義務化は違憲 州連邦地裁
【ワシントン=大隅隆】今年3月に成立した米医療保険改革法を巡り、バージニア州連邦地裁は13日、医療保険加入を原則として全国民に義務付けた条項が合衆国憲法に違反するとの判断を下した。同条項は「国民皆保険」の実現をめざす同法の中核部分。オバマ政権は控訴する見通しで、最高裁まで決着がもつれる公算が大きい。
11月の中間選挙で下院の多数を握った共和党は同法の縮小・廃止を視野に入れている。今回の判決はオバマ大統領が最重要案件の一つとして取り組んできた米医療保険改革の今後の展開に影響を与えそうだ。
焦点となった保険加入の義務化は2014年から。同地裁のハドソン判事は、義務化条項が「憲法によって議会に与えられた(立法の)範囲を逸脱している」との判断を下した。一方、ギブズ米大統領報道官は同日の会見で、米政府として控訴する可能性を示唆した。
民主党主導で成立した同法を巡っては全米で20以上の訴訟が進行中だが、違憲判決は初めて。ホワイトハウスは「判決が出ている他の2つのケースでは合憲との判断が出ている」としている。
同地裁は加入義務化条項の即時停止は命令していない。このためオバマ政権が進める医療保険改革法や加入義務化条項の施行準備などにすぐには影響を与えないという。