地域産業の活性化・振興を図る深谷市役所商工振興課が立ち上げた産学官連携事業、それが
『ゆめ☆たまご 』
です。
深谷のもやし屋飯塚商店は、若き深谷市職員の熱意を汲みもやし屋として『ゆめ☆たまご』に協力、地元深谷市のあるべき活性化に取り組んでいます。またそうすることがもやし屋にとっても有益だと信じています。
深谷市と言えば『深谷ネギ』。全国的なネギの一大産地であることは異論の余地はないでしょう。『ゆめ☆たまご』のメンバーにもネギ農家さんがいます。
市の看板を掲げている『ゆめ☆たまご』は“公益性に基づいた正しさ”を追求する思想集団の側面を持ち、単なる一過性お祭り好きの組織ではありません。イベントを立ち上げるにしても必ず『正しさを伝えて、日常に繋げる』意識を持ってます。
なのでその『ゆめ☆たまご』が深谷ネギを伝える際は、ただネギを陳列して『深谷ネギをどうぞ』なんて浅薄なPRにはしません。まずは『深谷ネギとは何か?』をきちんと提示し、消費者の理解を促すことから始めます。その思いがまず1月に開催された深谷ネギの『利きネギ 』という形になりました。
そして言うまでもなくネギは野菜であり食べ物です。食べ物は食べることでその価値が決まります。今回『ゆめ☆たまご』がネギの食べ方として着目したのが、畑から引き抜いたばかりの泥つきネギを直火で焼いて、皮を剥いてそのままかぶり付く
『泥ねぎ一本焼き』
です。
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あれはいつのことだったでしょうか。『ゆめ☆たまご』の企画会議後、そのままメンバーはゆめ☆たまごに加わっている市内のうどん屋『三男坊(さんなんぼう )』に流れ込み、酒盛りを楽しんでいる時でした。深谷生まれの女将が
『これ子供の時に良く食べていたのよ』
と持ってきたのは表面が真っ黒に焦げたネギの直火焼き。ネギは『宏太郎(岡部産)』、甘い品種です。何も知らないゆめ☆たまごメンバーが恐る恐る皮を剥いて、一口頬張ると皆一様に衝撃を受けました。
『これはなんだ!?こんな旨いねぎの食い方があったのか!!』
一人一人に聞いてはいませんが、おそらく皆こんな印象を持ったはずです。以来、『ゆめ☆たまご』では究極のネギ料理といっても過言ではない
『泥ネギ一本焼き』
をいかにしてネギPRとして登場させるか・・・そればかりを考えるようになってしまいました。もちろんもやし屋の私も含めて(笑)。
「良いものは誰かに教えたい」というのは人間の根本的な性質なのかもしれません。
そして大きな転機が訪れます。本当に偶然にもメンバーの一人、同郷の友であり、教育者・ライターの小林真がラジオでスペイン・カタルーニャ地方には泥ネギをそのまま焼いて食べる祭『カルソッツ』の存在を知り、以来興奮と共にそのカルソッツの動画をメンバーに見せて歩きました。
・・・そして深谷シネマ ともつながりの深い彼は、
『とりあえず第1回深谷カルソッツを敢行しよう!』
と意気込んで、シネマ敷地(旧酒蔵跡)で毎月最終土曜日に開催されている“にぎわい夕市”に強引にねじ込み、ここに
『第1回深谷カルソッツ』
が開催されたのです。最も第1回の実行委員は小林真と私だけでしたが(笑)。
第1回『深谷カルソッツ』は『ゆめ☆たまご』とは関係の無いきわめて個人的な立ち上げでしたが、それでも市内5品種ほどの深谷ねぎを集め、隣町のめぬまネギも加えて、品種別食べ比べの要素を加えるという『ゆめ☆たまご』の思想に基づいたものになりました。
さらに『ゆめ☆たまご』メンバーのイタリア料理店『パンチャ・ピエーナ 』の協力もいただきカルソッツに付き物のアーモンドを使った特製ソース、『ロメスコ・ソース』、加えてカルソッツの後によく食べられる『パンコントマテ』というブリュスケッタのようなパン料理を作っていただき、それらを添えて体裁だけはスペインの『カルソッツ』らしくなりました。
極めて個人的な『第1回深谷カルソッツ』は地味ではありましたが、このときの経験が次回、『ゆめ☆たまご』が本格的に絡むイベント、『深谷カルソッツ』に大きく活かされる形になります・・・。