たまごまごごはん

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新生大学生版「けいおん!」第一話掲載。出来のほどやいかに?

けいおん!」再開おめでとー!
どんどんぱふぱふ
・・・と無条件に喜んじゃうくらいの「けいおん!」クレイジーなので僕の感想自体はあんまりあてにならないんですが、正直心配な方も多いと思うのです。
梓達高校生編は別連載になりますし、大学に行っても続くって惰性にならないかと。実際その「惰性」の恐ろしさはあるわけで、単に人気があるからと引っ張って本当に面白いのか?という疑問は会ってしかるべきだと思います。
この条件、いわばハードルを把握した上で新生「けいおん!」が面白いかどうかを個人的に書いてみます。
いかんせん第一回目の8ページ4コマだとどのコマとってもネタバレになるので、一切ネタバレ無しでいきます。
やっぱね・・・再開第一回目は雑誌で確かめてもらいたいけど、きらら買おうか迷ってる、という人の背中を押したいなという気持ちで。
 

●1、徹底化した唯の一人称視点●

4コマ漫画「けいおん!」の面白さは色々あるのですが、唯と梓のダブル視点による、ポジティブ(唯)とネガティブ(梓)の「世界ってこんなに楽しいんだ!」という描写が一番大きいと思います。
もちろん律・澪・ムギ視点も物語的に視点としてあるのですが、軸になっているのはやはり唯の「楽しいこと見つけた!」なんです。これはもう一巻最初の「ニート!?」から徹底しています。
梓も「これでいいんだろうか」という思いに駆られつつも「やっぱり楽しい」を手探りでいくもう一人の主人公として唯を見つめるわけですが、梓は今回でてこないので、唯だけに焦点を絞って話してみます。
 
唯の「楽しい」視線ですが、実は一人称だけではありません。
まずは一人称の「楽しい!」というのをはっきり描く視線が一本。
その浮かれポンチな唯を見ている他の3人の視点が一本、という2本立てです。
たとえばこんなセリフ。

私もこれから大学生…
どんなことが起こるんだろう
わくわくする!

もう小学校の入学生のセリフみたいですよね。
でも、そうでしょう、唯って。
濁った部分が一切なくて、喋る言葉と思考が一体化している。
しかもその思考が常にポジティブ。まあここまでポジティブ化したのは高校での経験があるから、というのは今までの4冊を読んでいれば分かりますが。
こういう唯の一人称視点を概観するように、澪や律が唯にツッコミを入れていきます。特に律の立ち位置が特徴的。
べ、別に律が好きだからかわいいから律のことばっかり見てるってわけじゃないんだからねっ!///
いやでもほんとに。唯と律の関係はラブじゃない、ちょっと特殊な友情・信頼関係なので、唯に対しての適切な視点を保ってくれます。
 
この二本立てで唯が描かれているので、非常に唯のキャラ立ちがくっきりしています。
完全に「けいおん!」を今まで読んだことがない人でも、最低でも「唯ってどういう子なのか」がわかるというのは、再出発第一話としてはよく出来ていると思うのです。

 

●2、新キャラクターの位置●

大学編ということで、新しいキャラも出てきます。そのうち一人は既読者ならよくしってるあの人。
残りの新キャラですが、第一話では完全に唯や律を引き立てるために置かれているというのが面白いところです。
新キャラの方にスポットをあてることもできたと思うんですよ。でもあくまでも「サブキャラクター」なんですよね、現時点では。なぜかというと「唯」をクローズアップしたいから。
 
4人の関係自体はもう完成しているので、新しい物語を作るとなると場がかわるだけではやはりだめ。人間関係の広がりが必要になります。
じゃあ4人が分散しなければいけないのか?
確かに「別れ」によって人間関係が新しく広がる、つまり「出て行く」というのは一つの方向性です。
しかし「いいえ、そうじゃない」というのが「けいおん!」というマンガの考え方。
要するに内輪受けなら、その内輪の輪を広げればいいじゃないという思考なんです。
だから新キャラも4人のペースの輪に入ってきます。
といっても洗脳状態ではないので、かなりのカウンターになるであろうことも間違いありません。いわば「新風をいれた」状態です。
 
新キャラ参入によってどう変わっていくかは現時点ではわかりません。
しかし間違いないのは、平沢唯という子のポジティブな力と化学反応していくであろうということです。これってわくわくしませんか。
 
同時に、今後は「大学の軽音部に入る」という、上の考えて言えば「出て行く」部分も彼女たちには求められます。
だからその前に「内輪を広げる」という方法をとって唯のキャラを強めたのは見事なんじゃないかなあ。
4人で突貫していくのもいいけど、もっと大人数で挑んでいくほうが安心するし「楽しいじゃん」という徹底した「楽しい」思想。これが「けいおん!」の持つ力だと思います。
 

●3、別れと変化●

さて、変化あまりしていないような書き方をしましたが、間違いなく変わった部分があります。
一つは梓とのわかれ。ただし4巻ラストでムギが「スタジオでもあえる」という重要な一言を言っているので、放課後ティータイムが解散したわけではありません。すぐにでもそのスタジオセッションする回が出てくること希望! ですがまずは、梓編が掲載されるの待ちですかね。
二つ目は和ちゃんとの別れ。他の3人にとっても重要な人物ですが、特に唯にとっては小学校よりも前から続いていた親友。彼女とは確実に進路を別にしたわけで、この点に触れていたのは(しかも笑える仕方で)素晴らしい。今後和ちゃんは絡んでくるのでしょうか?
三つ目は憂との別居。唯にとっては巨大な差、大きな選択です。これもある形で描かれていますが、梓編のほうの憂がどう描かれるか次第で見え方が変わりそうな含みを持っています。
 
唯が超ポジティブな子ですし、しかも4人団子になって生活しているので「なんにも成長していない」ように一見見えがちですが、実は成長のあとが今まで読んできた人ならわかる、という仕組み。変化を気にもしてないほどアホな子じゃないんです。
上記三人の別れを引きずりながらも、それでも前向きに「楽しいことがいっぱい起きる!」と信じている唯の姿は相当な癒しになるはずです。
 

                                                                                                                                          • -

 
と、いうわけで。
再開第一話は「惰性」ではなく「成長の続き」が見られます。
今までの「けいおん!」ファンなら是非続けて読んでほしいし、満足できると思います。
女子大ってのもずるいよねー。男の匂いが全然しないよ!
新キャラについてはまだ言及はさけますが、「ニヤニヤできそう」とだけかいておきます。
けいおん! (1) (まんがタイムKRコミックス) けいおん! (2) (まんがタイムKRコミックス) けいおん! (3) (まんがタイムKRコミックス) けいおん! (4) (まんがタイムKRコミックス)

  
けいおん!」も面白いんですが、ざら先生の「しかくいシカク」がめちゃくちゃ面白いです。読んで考えて、はっとなって読み返すとさらに面白さがわかるという非常に計算された作品。「ふおんコネクト」もそうでしたがこのテクニックは見事。個人的にはおすすめしたい4コマ作家さんの一人です。twitterなど最新のネタのアンテナがもう高いこと高いこと。
けいおん!」梓高校生編はキャラットでの連載。こちらは4月28日発売です。