ソマリアの海賊を本格取り調べ 韓国海洋警察
【ソウル=共同】アラビア海を航海中だった韓国のケミカルタンカーを乗っ取った後に拘束され、韓国に移送されたソマリアの海賊5人に対し、韓国海洋警察庁は1日までに本格的な取り調べを始めた。5人は強盗殺人未遂などの容疑に問われており、最高で死刑判決を受ける可能性があるが、物証に乏しく捜査は難航も予想される。
海外での海賊行為に対し、容疑者を国内に移送して訴追手続きを行うのは韓国では初めて。韓国政府当局者は「韓国船への襲撃に厳しく対処するという意思を示すことが必要」と強調。海洋警察庁も「国連海洋法条約で、公海上での海賊摘発は認められている」として、処罰の根拠は十分との見解だ。
だが、同庁関係者によると、5人は銃器を所持してタンカーを襲撃したことは認めているが、強盗殺人未遂などの容疑は否認。韓国メディアは、重傷を負った船長への発砲を1人が認めたが、後に供述を撤回したと報じた。
取り調べには英語とソマリ語の通訳が必要で「通常の3倍以上時間がかかる」(同庁関係者)。同庁はタンカーが停泊しているオマーンに捜査員を派遣。船内を調べ、容疑を裏付ける物証の発見につなげたい考えだ。
同庁関係者は「極刑もあり得る重大犯罪。国際社会の視線に耐えられる慎重な捜査が必要だが、時間との闘いでもある」と話した。