iPhoneやiPadを使わせると幼児の発育には深刻な影響がある? 賛否をめぐって大激論!

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    iPhoneやiPadを使わせると幼児の発育には深刻な影響がある? 賛否をめぐって大激論!

    すでにiPhoneやiPad中毒の子どもたちだって増加中...

    子どもは風の子なんだから、ゲームばっかりしてないで外で元気に遊んできなさい! そう何度も親から言われて育ってきたギズ読者の皆さまも多いと思いますが、最近の子どもたちは、この使い過ぎで叱られる対象がiPhoneやiPadに変化してきてるみたいですよ。時代も進んだものですよね。

    まだ幼稚園にも行っていない子どもたちがiPhoneを1日数時間はいじっているだなんてごくごく普通という家庭も少なくないようでして、おまけに最近の傾向といたしまして、それがなにか悪いことなの? ウチの子はiPhoneでもiPadでも使いこなせる天才児なのよって、毎日何時間もはまっている子どもたちをベタ誉めする親まで出てきてるんだとか。

    で、実際のところは、どんな影響が及ぶんでしょうかね? やっぱり小さい子にiPhoneを持たせたりするのはよくないんでしょうか? それとも逆に幼児の発育にはプラス効果があったり? これがいまアメリカで非常にホットな話題でもあるそうで、ちょっと今回はギズでも注目の大激論に迫ってみることにしましたよ!

    いまアメリカでは幼児がiPhoneやiPadにはまっている現象が各地で一般化してきてもいるのですが、まぁ、ほとんどのケースとしては、最初から親が好んで幼児に与えたというよりも、気づけばいつの間にかそうなってしまっていたという場合がほとんどのようですね。

    たまたま夫がiPhoneを家に置き忘れていった時に、まだ2歳の娘がボタンを押してしまい、いきなり液晶画面が輝いて、いろいろと触る度に、おもしろいものが次から次へ表示されていくのを見ながら、ちょっと興奮気味に叫んでいたのですが、これが一巻の終わりでしたね。すっかり味を占めてしまって、そのiPhoneを手放そうとしなくなってしまったんですよ。もう後で取り上げるのが大変でした。いまでは娘も3歳半になりましたが、何時間もiPhoneを使い出すと止まりませんし、すっかり2歳の弟までiPhone好きになってしまいました...

    そう語るアトランタ州に住む母親のナターシャさんは、昼寝から起きると最初に「iPhoneは?」とつぶやく子どもたちに困ったものだなぁと感じつつも、最も子どもたちが自然な関心を示すものがiPhoneである以上は仕方がないのかなと思い始めてもいるようです。

    たとえば2歳になる息子には、LEGOブロックから絵本、おもちゃの自動車からボールに至るまで、なんでも一般的に子どもたちが欲しがるようなものは豊富に買い与えています。絵本だって好きなほうですよ。でも、やっぱりiPhoneにはかなわないみたいなんですよね。もしも選択肢を与えて、おもちゃかiPhoneか、どちらかにしなさいって言ったら、いつも間違いなく迷わずiPhoneのほうを取るでしょうね!

    2歳でiPhoneの楽しさを味わって手放せないとは、もうガジェット人生まっしぐらという感じでしょうかね〜

    息子がiPhoneを手放さなくなってしまったのは、まだ1歳の時でした。目覚まし時計のセットを間違えてしまって、いつもよりも30分遅く起こしてしまったんです。早く仕事に行く前に保育園へ息子を預けに出かけないといけなかったのですが、ミッキーマウスが見たいと泣き叫んで言うことを聞かないんですよね。

    困ったなぁ、ここはなんとかまず自動車に乗せないといけないと思って、ほらほら、テレビじゃなくって、このiPhoneでYouTubeのミッキーマウスが見れますよなんて言いながら連れ出すと、驚いたことに車内でも上機嫌でiPhoneから流れるミッキーマウスを見つめています。で、保育園に着いたんですけど、もうすっかりiPhoneが気に入ってしまって放そうとしません。私は仕事中は携帯電話を使わないので、その日は仕方なく息子にiPhoneを持たせたまま保育園を後にしました。

    いまでは私が本当に携帯電話を使いたい時でも、息子からiPhoneを取り上げるのが大変ですね。なかなか簡単には手渡そうとはしませんからね...

    シカゴ在住のケリーさんは、そんなふうに息子のブラディー君のiPhone好きの様子を話してくれましたよ。一昔前ならば、テレビやゲームにばかり夢中の子どもたちが問題になったりもしていたと思うんですけど、どうやら最近ではすっかりiPhoneにのめり込む幼児のほうが問題になりつつあるようですね。

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    ただ、ここで「問題」という言葉を使うのがいいことなのかどうかも分かりませんよ。だって、iPhoneにもiPadにも幼児にだって使えるアプリが満載ですからね。しかもその大半が子どもの教育にとてもよいという触れ込みだったりもします。そして、実際に非常に大きな効果があるということまで各地で実証されてもいるみたいですよ!

    ウチには8歳と3歳の2人の娘がいますが、明らかにまだ現在は3歳の娘のほうが、最初に育てた娘の時よりも、単語力、読解力、作文能力のすべての点で成長が著しく早いんです。そして、その違いの原因として思いつく唯一のものは、3歳の娘には以前はなかったiPhoneとiPadという電子機器があるという利点です。

    いろんな幼児向けのアプリケーションを入れてはいますけど、どれも優れた内容のものばかりで驚いていますね。たとえば、普通は3歳ではとても正確な綴りなんて知らないはずの単語をたくさん知っていますし、親が教えたこともない難しい言葉をスラスラと口に出して会話してくる姿を見ると、このiPhoneやiPadという現代文明の利器はスゴいものだなって実感させられます。もちろん、あんまり何時間も毎日使い過ぎないようには注意しないといけないですけどね。

    そう語ったワシントン郊外で生活する母親のジルさんは、もう1つ別の興味深い点として、いまではiPhoneとiPadにすっかり夢中の2人の娘たちが、まったくテレビを見たがらないということも明かしてくれました。子どもの世界でもテレビ離れが進んでしまっているようですね〜

    ただ、あまり早い段階から幼児にまでiPhoneやiPadを毎日何時間も自由に触らせることに関しては、当然ながら賛否両論が激しく飛び交っていますよ。

    保護者はテレビ番組でさえ本来ならば子どもが満2歳になるまでは見せるべきではないと考えています。携帯電話などではどうなのかというガイドラインの策定も早期に完了したいと思ってはいますが、次々と形状の異なるデバイスが登場してきているため、まだ明確な指針を示せるには至っていません。しかしながら、まだ小さな子どもにテレビを見せるべきではないと考えるべき理由は、同じように携帯電話などの最新機器にも一様に当てはまると思います。

    そう非常に保守的な意見を発表している米国小児科学会(AAP)なのですが、ここまで厳格ではなくとも、早くも幼児の段階からiPhoneやiPadに触れさせることに否定的な考え方の人は、かなり多数派を占めることも、育児関連ソーシャルネットワーキングサービスのUrbanBaby.comが実施した調査などから明らかになっていますよ。

    子どもたちの発育を最も助けるのは受動的な活動ではなくアクティブな活動であり、スクリーンを操作して眺めていることは、決して成長段階に必要なアクティブな活動レベルを満たすものではありません。

    テンプル大学で心理学の研究を進めるキャシー教授は、そんなふうに語って、このところ幼児が何時間もiPhoneやiPadをいじって毎日を過ごしている現象に懸念を表明していますよ。

    こういう現象って、日本ではどうなんでしょうかね? もう小学校に入学する前からiPhoneやiPadを使いまくっている子どもたちも普通になってきているのでしょうか? そういう子どもほど集中力や学習能力が高かったり、あるいは逆に注意力散漫で学校では成績が良くなかったりするのか、今後の発育に及ぼす影響などに関しては、まだまだこれから調査結果が出てくるような気もしますが、ギズ大好きっ子に育つのは間違いないのかもしれませんよね...

    New York Times

    Jack Loftus(米版/湯木進悟)