NTT東西地域会社は2010年11月2日、加入電話などを提供する公衆回線交換網(PSTN:Public Switched Telephone Network)の展望を公表した(写真1)。2020年から段階的にIP化するが、INSネットなど一部のサービスは継承しない。事業者やユーザーへの理解を求めながら2025年には交換機を撤廃する計画だ。
NTT東西がPSTNの廃止時期を2025年としたのは、「15年後くらいに電話交換機の寿命が来る」(NTT東日本の前田幸一副社長)と見ているためである。
PSTNは、もはや収益が伸びない分野。メーカーも交換機の新規開発・製造・保守にコストをかけたがらない。メーカーが新規開発をやめた現在、今の交換機を保守しながら運用し続けると、約15年後には保守に限界が来るというのがNTT東西の考えである(図1)。
継続するサービスを取捨選択
明らかになったPSTNの移行の展望は、これまでNTT持ち株会社が説明してきた「NGNにIP化装置を設置し、メタル回線を収容することの経済性を検討する」というものとは内容が違っている(図2)。前田副社長は、「加入電話に相当する音声サービスや基本的な付加機能は、(料金も含め)既存ユーザーの不利にならない形で移行する」と説明する。しかし、いくつかの既存機能・サービスは新IP網には継承しない。しかも、後継となる機能・サービスの案がないなど、不透明な部分がある(表1)。